応用生態工学会

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会長挨拶

新任挨拶(第13期会長)

 このたび第13期の応用生態工学会会長に選任していただきました占部です.

 コロナ禍のため、対面での総会を開催することができませんでしたので、学会HPにてご挨拶させていただきます.と、ここまで書いたものの、さてどのような挨拶が良いのか途方にくれています.挨拶というのは、じっくりと熟考してするものではなく、その場の勢いでするのが良いと思っています.そのほうが、日頃強く感じていることや正直な気持ちを出しやすく、忌憚のない表現が出来るからです.ですので、こうして文を考えながら挨拶を書くというのは、何か無理して余所行きの服を探しているような、そんな感じになります.

 そこで、思いつくまま書きたいと思います.私は、応用生態工学会はたいへんユニークな学会だと思っています.歴代の会長・幹事長がそうあるべきだと先導し、また常に語られてきたように、土木工学、生態学、大学や研究所の研究者、民間の技術者、行政担当者、学生など、学問や立場の全く異なる実に多様な方々が集っています.しかし、私が感じる本学会のユニークさは、その多様な部分ではありません.このように多様であるにも関わらず、居心地良く感じることです.おそらくそれは、上品な言葉で表現すれば、学問や立場が異なる方に対する敬意によるもので、悪どい言い方をすれば、何かを吸収して自身の研究や技術や仕事に活かしたいという思いが個々の会員にあるからではなかと思います.私の研究分野は生態学で、何か面白いこと、まだだれも気づいていない現象を理解したり、だれもが知っている現象をこれまでにない理屈で理解したり、さらにはそうやって構築されていく怪しげな理論を実証したりすることが、学問の推進原理です.しかし、そのためには(大げさに言えば)広く世界を見渡せる窓が必要です.私にとって応用生態工学会はそのような窓です.窓越しに、現場を知る民間や行政の専門家から話を聞くことで自身の研究を振り返り、それが全く役にたたないことで忸怩たる気持ちになる、面白さのあまり試しに窓の向こう側にも行ってみる.これは、応用生態工学会の多くの会員が持っている感覚ではないでしょうか.それゆえ、この学会は居心地が良いと感じられるのでしょう.
 応用生態工学という学問があったとしても、その専門家はいらないと私は思っています.土木工学も生態学もどちらも出来ると標榜する専門家は、おそらくどちらも出来ないのではないかと.立場の異なる専門家が、例えば、治水・利水と生態系の保全を両立させていくといった目的を共有することが、この学問の推進力だと思います.一人でいろいろな楽器を演奏出来たとしても、それで良い音楽は奏でられないでしょう.それぞれ異なる楽器を持つ奏者が集まることで、心地よい音楽が奏でられる.不協和音もあるかもしれませんが、その中に優れた奏者がいれば、周りもそれに追いつこうとすることで何かを吸収し、さらに良い音楽が演奏されるようになるはずです.応用生態工学はそのようにして進展していく学問だと思っています.
 教科書に出ている大気CO2濃度のキーリング曲線を第三者的に眺めてきましたが、近年頻発している激甚災害を見ると、地球環境変化がいよいよ顕在化してきたと感じさせます.河川行政も、流域治水へ線から面へと踏み出しました.海水面の上昇による高潮に対する防災など、国によっては国家予算レベルの取り組みがされつつあります.私達の国土を見直す時期が来ています.しかし、先進国のなかでは、生態系や生物多様性の保全を無視した事業や政策はもはや有りえません.こう考えると、「人と生物の共存」「生物多様性の保全」「健全 な生態系の持続」を達成することを共通の目標とする本学会の趣旨に、やっと国内外のニーズが追いついてきたように思います.地域の生態系活用と生態系の保全、自然環境を生かした広域的な社会デザインなど、応用生態工学はこれから日本が(そして世界が)必要とする取り組みの学問的基盤を提供していくと期待されます.会員がその力を発揮できるよう、専門や立場の異なる会員が居心地良く集えるよう、下支えしていくことが本学会の使命です.少しでもそのお役にたてるよう、尽力したいと思います.

 冒頭に述べたように、思いつくままアレコレ言いたいことを書いてきましたが、これから2年間、どうぞよろしくお願いいたします.

令和3年10月 会長 占部 城太郎
第25回総会(令和元年9月25日)選出

過期会長挨拶

会長挨拶

新任挨拶(第12期会長)

 応用生態工学会第12期会長に選任いただきました甲村でございます。

 現在、一般財団法人国土技術研究センター理事長をつとめております。応用生態工学会では第9期谷田会長、第10期辻本会長のもとで理事を務めさせていただきました。

 私は土木工学の出身で、建設省・国土交通省で主として河川分野、と言いましても、若い頃は技術的な仕事をしましたが、中年あたりからは技術行政的な仕事が多く、道路局や環境省、県にも勤務いたしました。国土交通省退職後は独立行政法人水資源機構理事長としてダム・水路の建設・管理に6年半携わり、その間、平成25年9月台風18号による桂川大出水の際の日吉ダム防災操作、平成29年7月線状降水帯による九州北部豪雨の際の寺内ダム防災操作、また、小石原川ダム建設におけるヤマネの巣箱調査と保全や、昨日口頭発表がありました川上ダム建設におけるオオサンショウウオの保護・移転等に諸先生にお世話になりながら関係しました。

 本学会は、生態学と土木工学が共同して、その境界領域において新たな理論・知識・技術体系を構築し、もって「人と生物の共存」「生物多様性の保全」「健全な生態系の持続」を達成することを共通の目標としており、これまで多くの努力が積み重ねられ、先ほどの小石原川ダム建設や川上ダム建設に見られるように、応用生態工学のさまざまな知見が良好な国土基盤を形成する土木事業でも取り入れられて、環境保全が日常的に行われるようになっています。

 国際的にはSustainable Development Goals(SDGs)、日本の公式訳では持続可能な開発目標となっていますが、私はDevelopmentは開発ではなく発展と訳して、持続可能な発展目標とした方が誤解が少ないと思うのですが、将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような社会を目指す努力がなされています。具体的には17の目標と169の達成基準が定められており、17の目標の中には当学会と関係が深い「陸上生態系の保護、回復」、「強靱なインフラ整備」といった分野に加えて、最近の猛暑や豪雨等で実感が出てきている「気候変動への緊急対策」、さらには「貧困の撲滅」、「質の高い教育」「ジェンダー平等」等幅広い分野にまたがっています。人類と地球が継続的に繁栄するために、本学会も応用生態工学の分野における専門的知見と職業的倫理観に立脚した、客観的データに基づく仮説検証と現場における順応的管理をより深化させるとともに、社会学・経済学等とも連携した学際的な取り組みもより重要性を増してくると思われます。

 皆さんとともに努力してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

令和元年10月 会長 甲村 謙友
第23回総会(令和元年9月29日)選出

会長挨拶

新任挨拶(第11期会長)

 兵庫県立大学の江崎でございます.

 本日の総会資料を見ておりまして,10年前に「土木工学と生態学の壁はとりのぞかれたか」という特集号を作った時のことを思い出しておりました.あれから10年,さらに遡って学会創設からは20年,正確には21年です.この間の変貌を良い意味で実感しております.と申しますのは,10年前には幹事長を務めておりました.その当時の学会と,今年の学会大会に久しぶりにフル参加させていただいて,その違いを如実に感じるからであります.なぜ10年の空白ができたのかと考えてみますと,あれ以降,コウノトリの野生復帰に深く関わるようになり,その後は新たな大学院の立ち上げに必死でございました.あっという間の10年でしたが,これらが一段落して,今回から,応用生態工学会という革新的,かつエコロジーとシビルエンジニアリングという,二つの伝統ある学問の境界領域に作られた学会の会長を務めさせていただくことになりました.本当に名誉なことであり,ずっしりとその重みを感じております.

 10年前の特集号で思い出すのは,今お話しされた辻本会長がおっしゃったサラダボウルです.この学会はサラダボウルであると.その時は確かにそうだなと思いました.若い方には分からないかもしれませんが.現実に今ここに立ちますと,今ではそのサラダボウルが,野菜だけではなく,海鮮,あるいはローストビーフも入っていそうな学会になった. 私は生態学者ですが,生態学というのは,おそらく他の学問もそうだと思うのですが,常に理論と実践のキャッチボールによって発展してきました.しかし,おそらく今の時代,環境問題をはじめいろんなことがございます.その中で,とてもじゃないけどゆっくりとキャッチボールをしている猶予はない.そこでイメージするのは,現代のサッカーに象徴されるように,フォワードもミッドフィルダーもバックも,ポジションに関係なく,あるいはベンチにいるメンバーもいつでも登場し,ゴールゲットできる,そんな学会です.そうでなければこれからの世の中,応用生態工学会が,その役割を果たすことができないだろうと思います.

 現実を見ると,確かにチームのメンバーはみなさん活躍しておられる.素晴らしい.しかし,20年たってどうやら,応用生態工学会の立ち位置といいますか,ほかにもいろんな学会があって,今回ELRの中でみな頑張っているわけですが,その中で改めて応用生態工学会の果たすべき役割というものを再認識すべき時期にきているのだと思います.ターゲットを決めれば,このチーム力であれば十分,大量得点ができる.ただしそれは,「地域」,今は地域創生の時代ですから,地域の歴史を踏まえたうえで,地域課題の克服をやっていかなければならない.そして,地域のモデルが日本全体に広がり,それが日本モデルとなって,世界に広がっていく.今,そういう時代にいるのではないか,そんな風に思います.そう考えますと,チームのみなさんが一緒になれば本当にすごいので,ぜひともエコロジーとシビルエンジニアリングの境界領域を極めるべく学会の力を結集して,持続可能な世界をつくる.そういう学会であるべく,会長として微力ながらできるだけのことをしていきたいと考えます.ということで,役員の皆様を初め,ここにおられる皆々様方,ご協力のほどよろしくお願い申し上げます.

 皆さん,がんばろうじゃありませんか.

平成29年10月 会長 江崎 保男
第21回総会(平成29年9月24日)選出

 

会長挨拶

新任挨拶(第10期会長)

 私はこの3月に名古屋大学を退職しました.大学という組織から離れて,肩の荷がおりた思いがしておりましたが,このたび応用生態工学会の会長という名誉と責任のある職を努めることとなり,抜けたはずの重みがまたひとつのしかかってきて,大変だと思っているところです.

 思い起こせば97年にこの会が発足して以来,川那部先生,廣瀬さん,山岸先生,近藤さん,谷田さんたちが大変な努力をされそれに導かれて非常に立派な会に育ってきたという気がします.

 私は土木工学の出身ですが,この学会の活動を通じていろいろな違う分野の人たちと知り合う機会を得ました.それは生態学の人であったり、陸水学の人であったり、あるいは行政に携わっておられる人たち,必ずしも国土交通省だけではな,環境省,農水省などのいろいろな方々であったりと多様で,そういうみなさんの多彩な見識や経験を直接うかがう機会を持つことができて幸せでした.この学会の発足した当時はそういう交流の場はあまりなく,私たちの先輩が苦労してそういう場を作ってくださり,それを通じて私たちが知り合い,夢を語り合い,それが成熟してきたわけです.

 しかし私は,まだこの会に少し欠けているところがあると思います.

 それは,土木と生態学との間に新しい学問を作ってゆくところです.我々はやっとお互いをわかり合えて,双方の技術,知識を交換出来るようになり,土木と生態学との間に新しい学問を作ろうとしていますが,それをどうやって体系化して行くかについては,長い将来にわたってさらに努力して取り組んでいかなくてはなりません.

 学会としては,我々の先輩が数次の中期計画の実施を重ねてきて立派な会に育ちつつあり,このたび第4次中期計画が発表されました.今や会長が一言言えば動くというのではなく,新しい役員の人たちやそれを支える会員の皆様と共に歩んでいくのだということは確信しておりますが,初心を忘れないということが大事だと思っております.

 これからの次の時代を見据えて,みなさまと気持ちを合わせて,がんばってゆくつもりでありますので,お導きいただきますようよろしくお願いいたします.

平成27年10月 会長 辻本 哲郎
第19回総会(平成27年9月12日)選出

 

会長挨拶

新任挨拶(第9期会長)

 1997年の夏、学会発足の直前、発起人への参画のお願い、発足後の人事の調整などに奮闘していた熊野可文氏とともに走りまわっていたのが、昨日のように思い起こされます。発足とともに初代の幹事長を拝命しましたが、このような実務に疎い私を、会長、副会長、理事、それに事務局に支えられ、なんとか幹事長時代を過ごしました。

 今も変わらない本学会の理念である、工学と生態学の学際領域に新たな学を創設するという目標は、かなりの成果をあげてきたと思います。工学プロパーと生態学プロパーが、ややぎこちなく会話を重ねていた発足時の第一世代、応用生態工学を基盤に研究を始めて今も続けている第二世代、この学を中心とする研究室や講座で育ってきた第三世代、この短い時間に多くの世代が知を継承しながら育ってきたことは、大きな喜びです。

 幹事長時代に大きな印象を受けたのは、行政、民間会社、アカデミズム(大学、研究機関)の三位一体での学会運営や研究活動でした。学会誌の収載論文や大会講演を見ても、この三位一体の体制を実質化した研究が多くなったことに気付かれた方も多いと思います。さらに、近年は、大学院生、ときには学生の、研究への参画や発表が増えています。土木工学、生態学の関連学会のなかでも、若者の元気な学会であると思います。三位一体から四位一体へ、この傾向をさらに促進したいと思っています。

 近藤会長が苦労して変革された事務局体制、発足当初から事務局あるいはその事務局長の人材と経費を、特定の民間の会社にお願いしていました。この解消は、長年の課題でしたが、やっと新体制が始まりました。この体制の定着は、必ずしも容易ではありませんが、単年度の収支バランスの確保とともに、なんとしても任期中に定着する方向を見つけたいと思っています。

 2013年度には、現在の中期計画が終了します。その評価とともに、次期中期計画の策定も必要になります。学会のさらなる発展につながる計画については、若手が中心の幹事会が、着実でありながらも先進的なアイデアを出してくれると期待しています。ただし、終了する研究の評価、次期計画の評価には、理事会だけでなく、過去の会長や副会長、あるいは理事経験者の皆さまの知が必要になると思います。そのような方々の知も継承していきたいと思っています。

平成25年10月 会長 谷田 一三
第17回総会(平成25年9月21日)選出

 

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