《自由集会企画者への連絡事項》 | |
・自由集会参加者から資料配布の要望が寄せられています.集会当日に配布資料をご用意されることを推奨いたします.数枚程度であれば,大会事務局で印刷することも可能です.事前に,大会ホームページに資料(pdf)を掲載することも可能です.必要に応じて,事務局(E-mail:tokyo_22th(at)ecesj.com(メールの際は(at)→@に変更))にご相談ください. |
【企画者】 乾 隆帝(山口大学大学院 創成科学研究科)
【日時・会場】 9月21日(金) 09:00〜11:00 ディジタル多目的ホール
【内容】
河川汽水域は,特有の生物が生息し,貴重種も多い特殊な生態系である.しかしながら,人為的環境改変が,生態系や生物多様性に負のインパクトを与え続けているため,それらの軽減ならびに自然再生が緊急の課題である.一方,河川汽水域における自然再生は事例自体が少ないため,有効な技術的手法が体系化されていないのが現状である.本集会では,河川汽水域における自然再生の事例として,福岡県遠賀川の多自然魚道(九州大学 鬼倉徳雄),福岡県室見川におけるシロウオの産卵場造成(福岡大学 伊豫岡宏樹),沖縄における希少魚類の保全事例((株)いであ 鳥居高志,沖縄環境調査(株)平中晴朗)を紹介し,今後の河川汽水域における環境保全ならびに自然再生のあり方について議論していきたい.
【プログラム】
【企画者】 宮川幸雄(土研)、小野田幸生(土研)
【日時・会場】 9月21日(金) 09:00〜11:00 W933講義室
【内容】
上流からの土砂がダムの貯水池に堆積することで,下流河床の粗粒化,アーマー化が進行する.これらを解消するため,ダム下流に人工的に土砂供給を行う取り組みが全国で実施されている.この土砂供給の効果およびその評価方法については,特に水産有用魚のアユを対象に様々な報告がある.例えば,アユに対する巨石や浮き石の割合の重要性,アユによる石の利用を石の露出高(土砂による埋没度合)で評価する手法の検証等である.ただし,このような手法の現場適用に際しては,河床の状態についての計測コストが膨大であるという課題がある.これに対し,河床の状態に関する要素を変数としてモデルに組み込み,予測する手法も検討されている.このとき,正確性を追求する予測モデルは複雑となるが,いくつかの仮定を置いた上で簡易化することで,利便性が高く現場に適用しやすいツールとして活用できる可能性がある.例えば,これまで蓄積されてきた河床粒径分布のデータを活用し,いくつかの仮定のもと,石の露出高を簡易的に予測できるモデルが構築されている.ただし,このような予測手法を現場適用するにあたっては,現場データとの整合性の確認のほか,設定した仮定が一般的な土砂水理学等に照らして妥当かどうかについても吟味が必要といえる.そこで本集会では,ダム下流における土砂供給がアユの生息場所に及ぼす効果の評価を主な事例として,評価する上でキーとなる指標およびそれらの指標を用いた簡易予測手法の妥当性と適用範囲について意見交換を行いたい.
【プログラム】
日本の河川・ダムでは,国土交通省やその他管理者が,流量や水位,水温・水質,生息する生物相(河川水辺の国勢調査)など多くのデータを継続的に取得している.これらのデータを集約して整理することで,個人の取得のみでは成し得ない広域・長期の解析が可能になる.しかし,これらのデータは,河川・ダム管理者が使用する前提で管理されており,広域・長期で利用しようとする研究者にとっては必ずしも利用しやすい形にはなっていない.今回の意見交換会は,研究者側と河川・ダム管理者との意見交換を行い,両者にとって良い形を探ろうとするものである.
【プログラム】
【企画者】 会誌編集委員会幹事会:萱場祐一、西浩司、三宅洋、山田浩之、尾花まき子
【日時・会場】 9月21日(金) 12:00〜13:00 W933講義室
【内容】
会誌「応用生態工学」は,2018年5月に従来の2年間の閲覧制限が撤廃され,刊行後ただちにJSTAGE上で閲覧,ダウンロードが可能になりました.また,特集企画を会員から募集する取り組みも始めています.このような変革を機に,会誌編集委員会では,会誌「応用生態工学」の更なる活性化を目的として,1)会誌編集の現状報告,2)会誌編集プロセスの解説,を行い,会員の皆様との議論から3)会誌および編集方法の疑問・要望を抽出することとしました.日頃から会誌の有り方や会誌編集の方法について疑問・要望を感じておられる方はもちろん,これから論文投稿される方等多数の方にご参加頂きたいと考えております.
【プログラム】
【企画者】 応用生態工学会九州北部豪雨災害調査団 団長 島谷幸宏,副団長 萱場祐一,皆川朋子
【日時・会場】 9月21日(金) 14:00〜17:00 ディジタル多目的ホール
【内容】
2017.7月九州北部豪雨は極めて規模の大きな災害であり,その災害復旧の在り方によっては地域の生態系に大きな影響を与え,地域の持続的な暮らしにさえ影響を与えることが懸念されることから,災害の影響を科学的に把握し,今後の生態系保全、地域づくりに活かしていくことが必要である.また,災害復旧においては,今日的課題である気候変動に対応するため,グリーンインフラの活用,ECO-DRRを踏まえた提案を行うことが重要である.以上より,応用生態工学会では,九州北部豪雨調査団を結成し,以下の基本的な考え方に基づき調査を実施することとした.
@ 大規模災害を引き起こした自然的インパクトが生態系,地域社会に及ぼす影響を広域的かつ中長期的視点から評価する.
A 「人と生物の共存」,「生物多様性の保全」,「健全な生態系の持続性」といった従来の視点に加えて,今後の学会の発展の方向軸として「健全な生態系を持続的な国土管理に活用する」という視点を位置づけ,グリーンインフラの活用,Eco-DRRを踏まえた復旧となるよう提言を行う.
B @Aの目標を達成するための調査として位置付ける.なお,@の視点から調査を継続するとともに,Aについては事後調査を実施し,提言の妥当性,災害復旧事業への反映の程度等を評価する.
自由集会では,これまでの調査結果を報告するとともに,「持続的で豊かな暮らしと環境の再生」にむけ,応用生態工学が行う災害調査とは何か?討論する.
【プログラム】
【内容】
御嶽山は,長野県と岐阜県の県境に聳える火山であり,その山麓には強酸性を有する湖沼や河川を多く有する.南山麓に位置する王滝川集水域では,戦前から下流河川で水資源開発が進められたうえ,強酸性を呈する源頭部の河川水系では,1989 年の長野県西部地震に伴う大規模な山体崩壊である「御嶽崩れ」,2014 年の「水蒸気爆発」による噴火といった自然災害の影響を色濃く受けながら,大規模な治山・砂防整備事業が進められて現在に至っている.
日本陸水学会東海支部会では,2014年の噴火以降,濁川を含む王滝川水系において,地形,水質といった環境基盤に関する調査とともに,付着藻類,水生昆虫,魚類といった生物相に関する調査を進めてきた.本自由集会では,御嶽山南麓に位置する濁川集水域における生物分布の現状を紹介し,崩壊や噴火の影響を推測しつつ,火山山麓に成立してきた特殊な陸水生態系について参加者と情報共有し,今後の調査研究のあるべき姿を考えたい.
【プログラム】
【内容】
応用生態工学会・若手の会は,応用生態工学を志す若手研究者や技術者をつなぐ研究交流会を実施します.同じ若手でも分野が違うと今ひとつお互いのことを知らないのではないかと思います.まずはフランクに自己紹介や研究紹介を通じて交流しましせんか?若手の皆さんには,土木工学や生態学など専門分野を立ち位置とされている方のほか,分野横断的な研究にいきなり入られた方も多いかと思います.総合的な対応力を身につけたい思いもある中で,境界領域ならではの研究面やキャリアパスに悩みも多いかと思います.また,学会の今後を担っていく若手の一人として,応用生態工学という学問や学会のあり方に思いを持たれている方もいらっしゃるでしょう.悩みや思いは人それぞれかと思いますが,話のきっかけになるような話題提供を用意しますので,気軽にディスカッションしてみませんか?
この研究集会は年に一回のベーシックな意見交換の場になるよう,継続的に運営していきたいと思っています.皆さんのご参加をお待ちしております.
【プログラム】
【企画者】 小笠原 奨悟(パシフィックコンサルタンツ株式会社), 幸福 智(いであ株式会社),吉原 哲(八千代エンジニアリング株式会社),長野 紀章(株式会社建設技術研究所),西田 貴明(三菱UFJ リサーチ&コンサルティング)
【日時・会場】 9月21日(金) 16:00〜18:00 W933講義室
【内容】
グリーンインフラは,応用生態工学会の目指す「生態学と土木工学の境界領域」に位置する概念であり,持続可能な社会の形成に向けた施策として,期待が高まっている.また,国内外の学会や研究プロジェクトでも議論・研究が行われているだけではなく,行政計画の施策として位置付けられるなど,社会への浸透が進みつつあるといえる.
一方で,今後のさらなる推進に向けては,研究者や行政の関与だけではなく,民間企業や地域住民なども含む,多様なステークホルダーによる連携が望まれている.その中で,行政計画や公共事業だけではなく,民間の開発事業等にも関わり,グリーンインフラに関連する技術や経験を有する建設コンサルタントが貢献できることもあるのではないだろうか.
本集会では,グリーンインフラの推進に向けて,建設コンサルタントが担う役割に焦点をあて,これから求められる視点や取組について議論を行う.また,グリーンインフラが普及する社会において,コンサルタントを取り巻く市場や求められる能力がどのように変化しうるのか,現行の枠組みにとらわれず幅広い視野で,自由集会の参加者と双方向の議論を行いたい.
本自由集会がきっかけとなり,グリーンインフラの推進に向けた多様なステークホルダーの連携や現場技術者からの提案が,ますます活発に行われることを期待している.
【プログラム】
【企画者】 田和康太(土木研究所水環境研究グループ河川生態チーム)・佐川志朗(兵庫県立大学/兵庫県立コウノトリの郷公園)・河口洋一(徳島大学)
【日時・会場】 9月22日(土) 13:00〜15:00 W935講義室
【内容】
水田とその周辺の農業水路やため池などから成る水田水域は,近代まで生物多様性の高い空間であった.しかし,全国的な傾向として,戦後の強毒性農薬の使用や1960年代から本格化した圃場整備事業による水域間の連続性消失,中山間部での耕作放棄の進行等により,水田水域における生物多様性は大幅に低下した.そうした中,減・無農薬栽培や湿田および未整備の水田の特性を生かした工法と農法の導入など,1990年代から各地で水田の生物多様性保全に着目した様々な取り組みが実施され,その効果が期待されている.農業水路やビオトープ,承水路といった生物の生息場に着目した昨年の集会では,実際の農業の現場で,どのように保全をすすめていくかが大きな議論となり,コウノトリやトキといったシンボリックな種が生息していない地域の水田における保全の進め方が大きなトピックスとなった.これらを踏まえ,今年度は,様々な立場の演者の方々に,本来の水田が有している生き物のすみかとしての役割や,現在の現場で起こっている問題などに関して発表いただく.各演者の考える保全策をもとに,水田水域における生物の保全を将来的にどのような手段で進めていくべきかについて活発な議論を期待したい.
【プログラム】
【内容】
「グリーンインフラ」という言葉は国土形成計画をはじめ複数の政策・方針に盛り込まれるようになり,その知名度は高まっている.またグリーンインフラをキーワードにした研究プロジェクトもいくつか進行している.しかし,その指し示す内容についての共通認識は,研究者や行政官の間でさえ十分に構築できているとはいえない.緑化や多自然川づくりなどの概念との差異も不明確である.この集会では,「グリーンインフラストラクチャー=自然を活かした社会基盤」という認識を原点に,グリーンインフラの構築・形成の推進は社会に何をもたらすのか,より社会に役立つものにするためにはどのような研究が必要なのか,という点について,グリーンインフラの取り組みを検討・推進している事例をもとに議論する.
【プログラム】
【企画者】 原田守啓(岐阜大学),三橋弘宗(兵庫県立大学),林博徳(九州大学)
【日時・会場】 9月22日(土) 15:30〜17:30 W933講義室
【内容】
2012年に第1回の自由集会を開催したことを機に,小さな自然再生に取り組む仲間のネットワークが形成され,JRRNの支援を得ながら事例集の出版,ウェブサイトを通じた情報発信,講習会の開催などを行なってきました.また,新たに取り組みを始める地域や主体も全国的に増えてきました.中小河川における多自然川づくりの補完としての役割や,地域コミュニティの再生という効用にも期待が高まっています.
しかしその一方で,「水辺の小さな自然再生は生態系保全にどれほど効果があるのか?」「検証はきちんとなされているのか?」「どれくらいやったら,効果があったといえるのか?」といった疑問の声も,良く聞かれます.第6回となる今回は,過去の国内外での事例をレビューしながら,そんな疑問の答えを探っていきたいと思います.
【プログラム】
【内容】
我が国のコウノトリ個体群は1971年に絶滅した.その後,紆余曲折を経て飼育下繁殖に成功し,2005年には試験放鳥,2007年には野外での繁殖が確認されるに至った.さらに野外の個体群は,但馬地域内に恒常的な繁殖地10箇所を構え,近年では,徳島県鳴門市,島根県雲南市,福井県越前市など但馬地域外へも営巣地が拡大している.また,関東地方では本種の定着を最終目標とした関東エコロジカルネットワーク事業が大規模に展開され,対象エリアの地方自治体(千葉県野田市)では,拠点の建設,個体の放鳥が継続され,鴻巣市でも事業化が検討されている.本集会では野生復帰の時系列展開を概説し,各エリアにおける最新の研究成果を紹介して,応用生態工学会としての野生復帰へのかかわりを考えてみたい.
【プログラム】