国土強靭化基本法に掲げられている「地域の特性に応じて,自然との共生及び環境との調和に配慮」する方針は,応用生態工学会が目指す「人と生物の共存」,「生物多様性の保全」,「健全な生態系の持続」を海岸や河川において実現していくことと一致しています.特に,東日本大震災被災地等で進められている復興・防災・減災事業から有効な教訓を抽出することが重要であると考えられます.
復興・防災・減災事業では,地域の自然環境・生態系ネットワークを適正に保全・管理する必要があり,それを実現する手段として,近年,多様な生態系を重要な社会基盤とみなすグリーンインフラストラクチャー(GI)の考え方に注目が集まっています.しかし,GIに関しては,防災・減災機能に関する技術的評価や維持管理,ガバナンスのあり方も含めて,課題や有効性について議論を深める必要があります.そこで,本シンポジウムでは,第一線の研究者を一堂に集め,最新の技術的知見や研究課題を共有し,土木技術と生態学の融合をめざす応用生態工学との接点を明らかにするとともに,課題解決に向けた方向性について議論を行い,今後の研究の進展と実事業への適用の出発点となることを目指します.
◇公開シンポジウム プログラム◇ ※同時通訳があります.
13:00 | 趣旨説明 風間 聡 教授(東北大学大学院工学研究科) |
13:10 | 講演1 『Future of our coasts: Potential for natural and hybrid infrastructure to enhance resilience in the U.S.』 Kateryna M. Wowk 博士 米国海洋大気庁(NOAA)主席エコノミスト室上席社会科学官 |
14:10 | 講演2 「未来に向けた環境・防災統合論」 島谷 幸宏 教授(九州大学大学院工学研究院) |
15:00 | 質疑応答 |
15:20 | 休憩 |
15:30 | パネルディスカッション コーディネータ 風間 聡 教授 (東北大学大学院工学研究科) パネリスト Kateryna M. Wowk 博士 島谷 幸宏 教授(九州大学大学院工学研究院) 諏訪 義雄(国土交通省国土技術政策総合研究所河川研究部海岸研究室長) 話題提供「自然・地域インフラと津波防災 −期待と課題−」 古田 尚也(IUCN日本リエゾンオフィスコーディネータ/大正大学地域構想研究所 教授) 話題提供「生態系を基盤とした防災・減災に関する国際政策の展開について」 |
16:30 | 終了予定 |
*この公開シンポジウムは河川整備基金の助成と,みちのく国づくり支援事業の支援を受けて実施します.公開シンポジウムのみに参加される方は無料です.
*12:30 から参加の受付を開始します.