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本大会の各プログラムは土木学会のCPDプログラムに認定されています。[単位詳細]

2013年(平成25年) 9月18日(水)〜21日(土)

応用生態工学会 第17回大阪大会

<第17回総会・第17回研究発表会>

(同時開催)  公開シンポジウム (河川整備基金助成事業) 
『都市河川の自然再生と防災を考える』

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ご 案 内


【応用生態工学会 第17回大阪大会 自由集会】 

9つの自由集会が開催されます.集会には所属学会によらず参加でき,事前申込は不要です.


●自由集会 【幹事会主催】放射性物質動態と流域生態系

【日時・場所】 9月19日(木)9:00〜12:00    [会場:C3会場]

  企画:五味高志(東京農工大)・河口洋一(徳島大)

  内容:

2011年3月の福島第一原発事故以降,福島県や周辺地域における水系網における放射性物質の動態や生態系への影響について,森林から農地や水田さらには沿岸域に至るまで,様々なモニタリングや研究が実施されている.福島県下を中心にさまざまなグループが,現在研究を進めておりますが,これまでのモニタリングの実施状況や研究成果について話題提供をいただき,それらの研究の横断的な意見交換を行うとともに,今後の長期的なモニタリングや調査の方向性,地域の資源管理の方向性,現地との協力,放射性物質対策などを含めて議論を進める予定である.


●自由集会 【幹事会主催】震災と環境対策

【日時・場所】 9月19日(木) 16:00〜19:00  [会場:C3会場]

  企画:萱場祐一(土木研究所)・河口洋一(徳島大)

  内容:

東日本大震災震災復興時の河川・海岸における環境対策に関する具体的事例を4人の演者から報告する.この報告を元に,研究者,行政,コンサルタント等の様々な立場から環境配慮を行う際の様々な課題を議論し,論点を整理する.また,今後起こりうる東海・東南海・南海地震等における復旧・復興において,効果的に環境配慮を行うために準備すべき内容等について議論を進め,応用生態工学として取り組むべき方向性について認識を共有することを試みる.


●自由集会「河床の見方‐水工学と生態学,河川中上流域を中心として‐」

【日時・場所】 9月19日(木) 16:00〜18:00  [会場:C2会場]

  企画:原田守啓(土木研究所)・小野田幸生(土木研究所)

  内容:

礫床河川の河床表層の状態は,ダム下流の粗粒化現象や土砂還元の取り組み等で注目されており,各所で研究が進みつつある.しかし,礫床河川の河床におけるマイクロハビタット研究は,学際的な取り組みが不十分であり,「浮き石,載り石,沈み石」といった定性的な見方からの進展が少ない.一方,海外論文をレビューすると,我が国の河川生態学におけるハビタット研究は,欧米にかなり遅れている印象をもたざるを得ない状況にある.

川底は,土砂水理学,地形学とハビタット研究の双方の対象となる領域であるが,現在,日本には議論の場が設定されていないように思われる.応用生態工学研究会こそ,水工学(とりわけ土砂水理学,開水路の水理)とハビタット研究の共通言語としての議論の場ではないか?

以上の現状認識に基づき,本集会は,礫床河川の河床にまつわる水工学サイドの視点,生態学サイドの視点を下敷きに,国内外の研究動向のレビューと,国内若手研究者による河床のマイクロハビタットに注目した先進的な研究について紹介するとともに,今後の河床のマイクロハビタット研究の方向性について意見交換しようというものである.


●自由集会「震災復興に応用生態工学はどのような貢献ができるのか:岩手県大槌町での取り組み」

【日時・場所】 9月20日(金) 15:30〜17:30  [会場:C1会場]

  企画:久米学(岐阜経済大)・森誠一(岐阜経済大)

  内容:

2011年3月11日,東日本大震災が発生し,東北地方沿岸に甚大なる被害をもたらした.岩手県大槌町では,人口の約10%の死亡行方不明と市街地の85%以上の壊滅という重篤な被災を受けた.震災から2年半が経過し,復興に向けた議論が進みつつある.その一方で,今後の復興に向けたまちづくりの方向性次第では,生物環境を含む景観・風景は,人為的改変により甚大な影響を受ける可能性があるだろう.本集会では,応用生態工学という学問が,今後も起こり得る自然災害による被害軽減も視野に入れつつ,震災後の復興事業にどのようなスタンスをもって立脚し得るのか,について,岩手県大槌町での取り組みを事例に議論したい.


●自由集会「ダム下流生態系」

【日時・場所】 9月19日(木) 09:30〜11:30  [会場:C2会場]

  企画:辻本哲郎(名古屋大)・一柳英隆(水源地環境センター)

  内容:

ダムは河川の水を含む様々な要素(水,土砂,栄養塩,有機物など)のフラックス(経路と輸送量)を変化させることで下流生態系に影響を与える.水源地生態研究会の我々のグループでは,河川の潜在的な特性を踏まえつつ,ダムの下流生態系に対する影響と影響を軽減する方策の評価の枠組みをつくることを目的として2008年から研究を行ってきた.この自由集会では今までの成果の一部を報告し,多くの人と議論をすることで,評価に関する普遍的な仕組みをつくることを目指したい.


●自由集会「ダム湖エコトーン(水位変動帯)の応用生態工学」

【日時・場所】 9月19日(木) 16:00〜18:00  [会場:C1会場]

  企画:浅見和弘(応用地質)・一柳英隆(水源地環境センター)・谷田一三(大阪府大)・江崎保男(兵庫県立大)

  内容:

(1)アジアモンスーン気候下の日本では,毎年ほぼ決まった時期に洪水がある一方で,冬季には渇水となりやすい.これは日本の特徴であるが,ダムではこの特性を利用し,国土交通省,水資源機構管轄ダムの約7割が,非洪水期に水位を高く設定し,洪水期に水位を下げる「制限水位方式」を採用している.(2)「制限水位方式」のダムでは,洪水期と非洪水期で,毎年水位変動がみられるため,ダム湖畔には人工的なエコトーンが形成され,勾配の緩やかな斜面(水位変動帯)には植生が発達する.(3)ダム湖は,一般に同一規模の自然湖沼と比べて大きな集水面積を持つため,水や土砂の流入の影響を強く受け,河川流入部には独特な場が出来上がる.(4)堆砂や大きな水位変動に伴って,ダム湖では,自然湖沼とは異なった特徴の景観的・生態学的なエコトーンを形成され,生態学的にみてもユニークな存在である.

本集会では,これらを考慮し,ダム湖岸のエコトーンの成立過程,湖岸に生息する生物や生態系について紹介する.「ダム」というと,いままで生態系への悪影響ばかり取り上げられてきた感があるが,ダム湖ならではの生態系も存在する.ダム湖エコトーンの機能や実態に着目し,流域の生物多様性保全や水資源管理のためにダム湖エコトーンのあるべき姿について意見交換したい.


●自由集会「小さな自然再生が中小河川を救う」

【日時・場所】 9月19日(木) 09:30〜11:30  [会場:C1会場]

  企画:林博徳(九州大)

  内容:

昨年のELR2012東京では,自由集会「小さな自然再生が中小河川を救う!」が開催され,河道内における小さな自然再生の工夫に関する報告・議論が行われた.そこでは,岐阜県・兵庫県・福岡県における取り組みについて事例報告が行われ,「バイカモシャンプー」,「バーブ工」,「間伐材を用いた水制」など市民の手によっても導入可能なユニークな事例が紹介された.会場とのディスカッションの中では,「小さな自然再生を多自然川づくりの中での位置づけを明瞭にすべき」,「小さな自然再生の事例の集積・体系化が必要」,「市民参加の川づくりのツールとしても有効」などたくさんの意見が出され,活発な議論が行われた.本自由集会では,各地におけるその後の取り組みについて報告するとともに,昨年行われた小さな自然再生の議論を踏まえて,(1)多自然川づくりの中での小さな自然再生の位置づけや,(2)小さな自然再生を実施するうえでの課題と可能性について議論したい.


●自由集会「応用生態工学会 テキスト刊行委員会」

【日時・場所】 9月20日(金) 15:30〜17:30  [会場:C2会場]

  企画:萱場祐一(土木研究所)

  内容:

応用生態工学会テキスト刊行委員会では,成果の還元,会員へのサービスの向上を目的として,応用生態工学の入門書となるテキスト刊行を企画している.昨年度開催した自由集会では,テキスト刊行の考え方,そして,シリーズの内容,河道内氾濫原の概要についてディスカッションを行った.今年度は,現在執筆している河道内氾濫原のテキストの内容についてより詳細な報告を行うとともに,応用生態工学の入門の書として改善すべき点等について会場と議論を行いたい.


●自由集会「汽水域における空間分布モデル」

【日時・場所】 9月20日(金) 15:30〜17:30  [会場:C3会場]

  企画:乾隆帝(徳島大)・荒木田葉月(国立極地研究所・兵庫県立大学)

  内容:

汽水域は,生産力が高く,また汽水域特有の多種多様な生物が生息する.しかしながら,汽水域は人間活動により負のインパクトを受けつづけており,実際に多くの種が絶滅の危機に瀕している.そのため,近年は,汽水域生態系の保全や自然再生が課題となっている.そのような背景から,近年,汽水域を対象とした調査・研究は増えてきており,その結果,様々な種についての生態学的知見や分布データが蓄積されつつある.また,一部の河川については,横断形状や流量などの物理データも蓄積されてきている.しかしながら,現状ではそれらのデータが汽水域の保全・再生に有効活用されているとは言い難い.

これらのデータを汽水域の保全・再生に有効活用するための方法が,「空間分布モデルおよびモデル用いた潜在的生息地の地図化」である.広域スケールでの空間分布モデルは,国土の中で優先的に保全・再生すべき場所の選定に利用できる.一方,地盤高や底質など,詳細スケールのデータを用いた空間分布モデルは,保全・再生に向けた生息場の設計・管理手法を構築する上で重要な情報となる.様々な分類群において,広域から詳細なスケールの空間分布モデルを統合できれば,限られた時間・予算・資源の中で,効率的に汽水域生態系の保全・再生の生息場管理が行えるようになる.

そこで,本集会では,全国,流域,セグメント,マイクロハビタットといった複数の空間スケールにおける,鳥類,魚類,植物,無脊椎動物といった複数の分類群にわたる研究例を紹介する.本集会が,汽水域における様々な分類群・空間スケールの研究を統合し,総合的な汽水域の生息場管理のあり方について論じるための第一歩になることを期待している.


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