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本大会の各プログラムは土木学会のCPDプログラムに認定されています。[単位詳細]

2014年(平成26年) 9月18日(木)〜21日(日)

応用生態工学会 第18回東京大会
<第18回総会・第18回研究発表会>

(同時開催)  公開シンポジウム (河川整備基金助成事業)
『地下を流れる水と応用生態工学の接点−健全な水循環の確保に向けて−』

大会案内PDF【2.5MB】

第18回東京大会実行委員長:風呂田利夫(東邦大学名誉教授)


【応用生態工学会 第18回東京大会 自由集会】 


A自由集会.「荒瀬ダム撤去過程から見える流域・河川土砂管理の方向性」

【日時・場所】 9月18日(木) 09:30〜11:30 [会場:202教室]

  企画:大槻順朗(東京理科大学)

  内容:

荒瀬ダムでは本邦初の大ダム撤去事業として,現在撤去工事が進行中である.2010年のダムゲートの常時開放に始まり,2013年度には堤体に孔(水位低下装置)が敷設され,湛水域では水位が低下し瀬が復活するなど,かつての球磨川の姿を取り戻しつつある.また,ダムから約20km下流の河口干潟域では,粗粒化や生物相の変化も確認されてきている.我々の研究グループでは,荒瀬ダム撤去事業を,流域土砂管理実現のために必要不可欠な土砂供給量の変化による物理環境・生物相環境のインパクト・レスポンス関係を見極める絶好の機会と捉え,河口域における土砂輸送による撹乱による効果,環境維持システムの評価までを目指した研究を実施している.本自由集会では,国内外のダム事業や土砂移動疎外緩和事業から本ダム撤去事業の位置づけを行いつつ,本研究グループでの上流から下流,河口海域に渡る影響評価研究を紹介する.それを元に,ダム撤去事業の効果を議論しつつ,今後の流域・河川における土砂管理施策に対する方向性,あるべき姿について議論していきたい.


B自由集会.「応用生態工学会 テキスト刊行委員会」

【日時・場所】 9月18日(木) 09:30〜11:30 [会場:203教室]

  企画:萱場祐一(土木研究所,テキスト刊行委員会代表)

  内容:

応用生態工学会テキスト刊行委員会では,成果の還元,会員へのサービスの向上を目的として,応用生態工学の入門書となるテキストの刊行を企画してきた.昨年度開催した自由集会では,第1巻としてリリース予定の「河道内氾濫原の保全と再生」の内容について紹介を行い,ディスカッションを行った.今年度は,本巻の完成版を提示した上で,会員の皆様から感想を伺うとともに,第2巻以降の内容,編集の進め方等について議論を行いたい.会員の皆様の幅広い参加をお待ちしております.


C自由集会.「ダムによる水生生物個体群の分断と陸封」

【日時・場所】 9月18日(木) 16:00〜18:00 [会場:201教室]

  企画:大森浩二(愛媛大学)・井上幹生(愛媛大学)・一柳英隆(水源地センター)

  内容:

ダムなどの河川横断構造物が水生生物の移動を阻害し,個体群を分断・断片化するのはよく知られた事実である.しかし,その実態は多様である.移動阻害は,ダムの堤体だけによって起こるのではなく,貯水池によって引き起こされているかもしれない.断片化された局所個体群の絶滅は,種や河川の場所によっても確率が異なるだろう.あるいは,陸封された個体群の密度や構造は,そうでない場合と異なる場合もある.この自由集会では,ダムによる水生生物個体群の分断と陸封の実態を,多角的に議論したい.


D自由集会.「【幹事会主催】国土強靭化と自然環境保全」

【日時・場所】 9月18日(木) 16:00〜18:00 [会場:202教室]

  企画:応用生態工学会幹事会(萱場祐一・河口洋一・西廣淳),日本生態学会生態系管理専門委員会

  内容:

昨年12月に国土強靭化基本法が施行された.今後,防災・減災を目的とした公共事業が全国各地で急速に展開され,日本の海岸や河川の自然環境に対して強いインパクトをもたらすことが予想される.国土強靭化基本法では,「地域の特性に応じて,自然との共生及び環境との調和に配慮」する方針が掲げられている.この方針は,自然の恵みを持続的に享受できるバランスのとれた国土形成・地域形成にとってきわめて重要である.国土強靭化の目的達成のためには,東北地方太平洋岸などで進められている復興・防災・減災事業において,今からでも可能な環境配慮を実施するとともに,有効な教訓を抽出することが不可欠である.そして,生態系を国民生活に欠くことのできない社会基盤とみなすグリーンインフラストラクチャーの思想に基づいて,防災・減災機能も含めた生態系サービスを,全ての国民が享受し続けられるよう,地域の自然環境・生態系ネットワークを適正に保全・管理する対策が講じられなければならない.本集会では,国土強靭化をめぐる社会情勢について情報を共有するとともに,国土強靭化と自然環境保全の両立について議論する.


E自由集会.「小さな自然再生が中小河川を救う!」

【日時・場所】 9月18日(木) 16:00〜18:00 [会場:203教室]

  企画:三橋弘宗(兵庫県立大学)

  内容:

自由集会「小さな自然再生が中小河川を救う!」は,一昨年,昨年のELR大会において開催し,各地の事例やその相違点や課題について整理することができた.参加者や関係者からの反響も大きく,リクエストを受けて現在,事例集の作成を進めている.この事例集を作成する議論の過程において,小規模な取り組みを行う上での共通のコンセンサス部分の整理,特に通常の行政計画として行われる河川整備や多自然川づくりとの関係性や実施の背景となる計画論や実施体制についての課題が大きな論点となった.今回の自由集会では,これまでのストックを活かして,個々の事例の計画論や実施体制,参加型を促進し波及するために必要な事項などに焦点を充てたテーマで開催し,これらの話題をもとに会場参加者との議論を行いたい.


F自由集会.「ダム湖における外来魚対策」

【日時・場所】 9月19日(金) 15:30〜18:00  [会場:201教室]

  企画:浅見和弘(応用地質株式会社)・大杉奉功(水源地環境センター)・中井克樹(滋賀県立琵琶湖博物館)・谷田一三(大阪府立大学名誉教授)

  内容:

全国の多くの河川,湖沼(ダム湖を含む)では,オオクチバスMicropterus salmoidesやブルーギルLepomis macrochirusなどの外来魚が著しく増加することにより,在来生態系のバランスが崩れている.両種は外来生物法(平成16年6月2日施行)の定める特定外来生物に指定され,野外への放出,移動,飼育等が禁止されるとともに,自然湖沼やため池などを中心に防除事業が進められている.一方,ダム湖では,河川水辺の国勢調査(ダム湖版)における平成2年(1990年)〜平成16年(2004年)の魚類の調査結果によると,94ダム中49ダムでオオクチバスとブルーギル(および同じく特定外来生物に指定されているコクチバス)が確認されている.そのうちオオクチバスの確認例が最も多く45ダムで,次いでブルーギルが33ダムを数える.

広大なダム湖を全て干し上げることは運用上困難で,オオクチバスやブルーギルの根絶は不可能に近い.しかし,これらの魚の生態特性や貯水池の運用を利用することで,効率的な調査や防除は可能である.本集会では,ダム湖で実施されてきたオオクチバスとブルーギルを対象とした調査手法や防除の事例を紹介し,水源域の生物多様性保全や水資源管理のために,ダム湖のあるべき姿について意見交換したい.


G自由集会.「河川空間を動的に捉える:攪乱による生息場更新と生物群集動態」

【日時・場所】 9月19日(金) 15:30〜18:00 [会場:202教室]

  企画:田中規夫(埼玉大学)・竹門康弘(京都大学)・古里栄一(埼玉大学)

  内容:

応用生態工学において,河川生態系は重要な研究対象である.生息場に関する多くの研究が応用生態工学会で発表されている.近年は,河川生態系のハビタットを動的に捉え,ハビタットの寿命や河床の構造,底層の流れと群集動態の関係に着目した研究も実施されるようになってきている.こうした方法・着眼点は,従来得られた多くの応用生態工学的な知見を更に発展させ,新たな興味深い展開につながる可能性がある.

河川水中の生態系を理解する場合,ハビタットの面から考えることの重要性は古くから認識されている.しかしながら,河川空間の特性やダイナミズムを考えた場合,生態系から見れば,「器」としてのハビタットそのものが動的であることから,生態系も動的なものとして理解する必要があるという立場から考えたい.河川空間の形態は,そこで形成される流れに加え,場合によっては砂の動きを通じて,ハビタットとして生態系構成生物に作用している.単に河床空間や河床材料の形を見るだけではなく,それらの「形(河床構造学)」がどういった「ながれ場(生態水理学)」との相互作用のもとで変動し(ハビタットの寿命),生態系の「群集形成((水理)生態学)や動態」が生じるかと言う観点が必要ではないだろうか.Frissellらの階層構造概念は撹乱後の回復時間と関係付けられている事からも自明であるように,河川生態系は物理的撹乱の影響のもとで存在している.群集構成の時間的な変動についても,生物個体群どうしの様々な相互作用により生じる「遷移の進行」だけでなく,物理的撹乱による「遷移の退行」も意識する必要がある.

こうした観点から,本集会ではまず「動的」に河川生態系を捉える方向性やフレームについて,生態学や水理学的な観点から示すとともに,関連した個別事例等について話題提供を行う.それらに基づき,総合討論では会場との意見交換により,「生息場」,「動的」,「撹乱」,「今後の応用生態工学」等について議論を行いたい.

なお,本集会は,土木学会基礎水理部会の生態水理分科会の活動の一環として行われるとともに,昨年度自由集会として実施された「河床の見方 ―水工学と生態学,河川中上流域を中心として―」の発展的集会として企画するものである.


H自由集会.「震災復興に応用生態工学はどのような貢献ができるのか2:復興の現状と課題」

【日時・場所】 9月19日(金) 15:30〜17:30 [会場:103教室]

  企画:久米 学(岐阜経済大学)・境 優(東京農工大学)・向井康夫(東北大学)

  内容:

2011年3月11日,東日本大震災が発生し,東北地方沿岸に甚大なる被害をもたらした.現在では,マスメディアでの報道の頻度は減少しており,復興が進んでいるものと思われがちである.しかしながら,現地に赴くと復興の道半ばであることを実感する.今後の復興に向けたまちづくりの方向性次第では,生物環境を含む景観・風景は,人為的改変により甚大な影響を受ける可能性があるだろう.例えば,「巨大防潮堤の建設」は各地共通の議論の対象となるだろう.その際に,応用生態工学という学問が,今後も起こり得る自然災害による被害軽減も視野に入れつつ,震災後の復興事業にどのようなスタンスをもって立脚し得るのか,が問われるのではなかろうか.そこで本集会では,まず,福島県,宮城県,岩手県における震災復興の現状について話題提供を行い,それを受けて, パネリストをお迎えして,「復興事業が生態系に与える影響」をテーマに応用生態工学が取り得るスタンスについて議論を行う.


I会議.「河川砂防技術基準(調査編)をもとにした意見交換会」(傍聴可)

【日時・場所】 9月19日(金) 15:30〜17:30  [会場:203教室]

  意見交換メンバー:

    国土技術政策総合研究所:福濱水環境研究官,中村圭吾主任研究官

    土木学会環境水理部会:京都大学 角哲也 教授,芝浦工科大学 宮本仁志 教授,

                     山口大学 赤松良久 准教授

    応用生態工学会:徳島大学 河口洋一 准教授,名古屋大学 田代喬 准教授,

                東邦大学 西廣淳 准教授,水源地環境センター 中村敏一

  内容:

国土交通省においては,平成24年6月に河川砂防技術基準(調査編)(以下,河砂基準)が改定されました.その総論には「新たな調査方法等の採用に当たっては,国土技術政策総合研究所等による関連情報の収集・調査等によるほか,学識者や関係者等の意見を聞くことにより最新の調査方法,技術的知見,課題等を把握する作業を定期的に行い,調査編の内容を見直すこと」としており,産官学の連携を通じた河川管理技術の向上が期待されています.

この度,河砂基準の環境分野の記載が,最新の学術的・技術的水準および現場実務での活用実態・実績を踏まえたうえで,必要かつ十分なレベルで適宜改定されるよう学識者や関係者等と継続的に意見交換を行う仕組みを構築することを目指して第1回意見交換会が開催されます.

※傍聴希望者は傍聴可能です(会場の人数制約有,先着順).ただし,傍聴者のご発言は出来ません.


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