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全体プログラム 研究発表(口頭発表) 研究発表(ポスター発表) 公開シンポジウム

【応用生態工学会 公開シンポジウム】

9月30日(金)13:00〜17:20

『河川の自然再生にむけたアダプティブマネジメント-極東地域における挑戦-』

"Adaptive Management of Rivers for Nature Restoration under human impacts
-Challenges in the Far East Region"

(趣旨)

 河川管理の目的が治水と利水に限定されていた前世紀の間に、日本と韓国の都市河川の多くがコンクリートに囲まれた水路になりました。しかし、河川は生態的にも社会的にも多数の機能を持っているとの認識から、両国における河川管理の戦略は生物多様性、栄養塩循環、堆積物輸送、景観、快適さ、伝統などを含む、より広い見方を含めたより多目的なものに変わってきました。
 人工的に改変された河川において、このように多機能な河川を再生するためには、蛇行区間スケールのみならず、セグメントスケールや流域スケールでの施策が必要となります。しかしながら、自然の中には複雑な因果関係があり、これを理解するためには長い期間を要することから、自然再生の結果を予測することは困難です。これが、自然再生や生態系管理の事業において「アダプティブマネジメント:実験的管理手法」を採用する理由です。応用生態工学会はこのフィールドにおいてアダプティブマネジメントの方法論開発に重要な役割を果たそうとしています。
 このシンポジウムは、それぞれの国の都市河川や大河川下流域における自然再生プロジェクトの現状を示し、極度の人為影響下にある河川生態系を改善するための方策について議論することを目指しています。ソウル市のチョンゲション(Cheongyecheon) プロジェクトは都市河川における自然再生事業の典型的な例の1つであります。また、ナクトン(Naktong)川の河口域再生プロジェクトは、河口堰の影響下にある大河川下流域の自然再生の方法論を議論するための良い事例と言えます。さらに、淀川と木津川の生態系の現状は都市河川および河口堰の影響の双方の比較に役立つと思います。
 このシンポジウムで示される我々の意見が、一般的な都市河川や河口堰を持つ大河川の生態系管理の手助けとなることを期待します。

◇プログラム◇

13:00〜13:05 趣旨説明 竹門康弘(京都大学助教授、当学会理事)
13:05〜13:55 「韓国における河川管理事例の変遷とソウル市チョンゲチョンプロジェクトについて」
"Transition of River Management Practices in Korea and Cheongyecheon Project in Seoul"
Dr. Byungman Yoon (韓国ミョンギ大学教授)
13:55〜14:35 「砂州の樹林化と人為的インパクトによる鳥類群集の変化−木津川を例に」
"Change in the river bird commuinity due to woodland expansion and artificial impacts on sandbars
- a case study in the Kizu River"
江崎保男(兵庫県立大学教授)・松原始(京都大学)・山岸哲(山階鳥類研究所所長)
14:45〜15:35 「ナクトン川河口域の自然再生プロジェクトについて」
"Restoration Project of Naktong River Mouth Estuary"
Dr. Gea-Jae Joo (韓国プサン大学教授)
15:35〜16:05 「淀川下流域生態系における人為影響の実態と自然再生の試み」
"Human impacts on the ecosystem of the lower reaches of the Yodo River and trials for its restoration"
綾史郎(大阪工業大学教授)
16:10〜17:00 パネルディスカッション
「人為影響下にある河川の自然を再生するための課題とアダプティブマネジメントのあり方」
"Problems to be solved for nature restoration in rivers under intensive human impacts and how to use adaptive management"
コーディネーター:竹門康弘(京都大学防災研究所助教授、当学会理事)
パネリスト:ヨン・ビュンマン,ジョー・ゲージャエ,江崎保男,綾 史郎
コメンテーター:山岸哲(山階鳥類研究所長)

<参加費無料・同時通訳あり>

*応用生態工学会では、2000年に米国ワシントン大学のカー教授を、2001年に英国バーミンガム大学のペッツ教授(ビデオ講演)、2002年にオーストリア・ウィーン農業大学のナハトネーベル教授を、2003年にオーストラリア・グリフィス大学のバン教授を招聘し、それぞれ『健全な生態系とはなにか−評価と回復のために−』、『河川の自然復元の現状と課題』、『生態学と工学の連携−総合流域管理に向けて−』、『川と川辺のリンケージ:健全な河川生態系を修復するために』と題し、公開シンポジウムを行った。

*この公開シンポジウムは河川整備基金の助成を受けており、参加費無料。同時通訳あり。

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