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応用生態工学 12(2), 141-147, 2009
事例研究 CASE STUDY
印旗沼における「高水敷の掘削」による散布体バンクからの沈水植物群落の再生
久城 圭1)・林 紀男2)・西廣 淳3)*
1) 株式会社水圏科学コンサルタント技術部 〒145-0064 東京都大田区上池台1−14−12) 千葉県立中央博物館 〒260-8682 千葉県千葉市中央区青葉町955−2
3) 東京大学農学生命科学研究科 〒113-8657 東京都文京区弥生1−1−1 1) Laboratory of Aquatic Science Consultant Co., LTD., 1-14-1 Kamiikedai, Ota-ku, Tokyo, 145-0064 Japan
2) Natural History Museum and Institute, Chiba, 955-2, Aoba-cho, Chuo-ku, Chibashi, 260-8682 Japan
3) Graduate School of Agricultural and Life Sciences, University of Tokyo,1-1-1 Yayoi, Bunkyo-ku, Tokyo, 113-8657 Japan
摘要
印藤沼の湖岸には,1960年代に湖底から浚渫された土砂を用いて造成された「高水敷」が存在する.この高水敷の土砂中に,現在の印播沼の地上植生からは消失した沈水・浮葉植物の散布体バンクが存在している可能性について検証するとともに,散布体バンクからの個体を定着・成長させ種子生産させることでこれらの植物の保全に寄与することを目的として,高水敷に浅い池を造成する事業が千葉県により実施された.造成された6つの池のうち2つでは,絶滅危倶種であるガシャモク,シャジクモ,オトメフラスコモを含む8種の沈水・浮葉植物が確認された.沈水植物が出現した池では多数の種子が新たに生産されていることも確認され,この事業が散布体バンクの保全にも寄与したことが示された.しかし,4つの池では水生植物は確認されず,散布体バンクの分布には空間的な偏りがあることが示唆された.
2009年3月12日受付,2009年8月24日受理
* e-mail: ajn@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
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