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応用生態工学 15(1), 131-136, 2012
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国際シンポジウム「生物多様性を意識した河川環境管理〜COP10後の日本と欧州での取り組み〜」
応用生態工学会国際交流委員会・応用生態工学会東京
まとめ
本シンポジウムのまとめとして,以下の点が挙げられる. 河川の管理や生態系の保全は,ヨーロッパや日本をはじめとした,世界的に共通の問題であることが改めて示された. 特に,生態系サービスや生物多様性の保全,回復への取り組みとして,単にターゲットとして種多様性や絶滅危倶種の保全のみに焦点を当てるのは現実的ではなく,順応的管理(Adaptive management)による生態系プロセスの回復が重要であることが示された. 全体の話題提供や討論ではこの順応的管理においては,流砂系として捉え,河川における生物,地形,水文プロセスを修復することによって結果として,ハピタットの保全や修復,生物群集の回復や生物多様性の保全につながっていくことになることが強調された.今後は,ヨーロッパや日本の河川管理において一般市民が政策決定のみならずモニタリングにも参画し,生態系管理の基礎情報となるデータベースの整備が行われることが期待されるとともに,河川を含めた文化的なランドスケープを保存することの重要性なども指摘された.
2011年10月13日受付, 2012年5月7日受理
*連絡先 (Corresponding Author)
五味 高志 (Takashi GOMI)
東京農工大学国際環境農学専攻 〒183-8509 東京都府中市幸町3-5-8
e-mail: gomit@cc.tuat.ac.jp
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