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応用生態工学 16(2), 107-117, 2014
事例研究 CASE STUDY
三春ダム貯水池湖岸における水位変動域のアカネズミ(Apodemus speciosus)による利用
西田 守一1)*・浅見 和弘2)・荒井 秋晴3)
1)応用地質株式会社 東北支社 〒983-0043 宮城県仙台市宮城野区萩野町3-21-2
2)応用地質株式会社 エンジニアリング本部 〒331-8688 埼玉県さいたま市北区土呂町2-61-5
3)九州歯科大学 〒803-8580 福岡県北九州市小倉北区真鶴2-6-1
2)OYO Corporation, Engineering Headquarters, 2-61-5 Toro-cho, Kita-ku, Saitama, Saitama 331-8688, Japan
3)Kyusyu Dental University, 2-6-1 Manazuru Kita-ku, Kokura, Kitakyusyu, Fukuoka 803-8580, Japan
摘要
制限水位方式により運用されている三春ダム貯水池湖岸において,貯水池の水位低下により洪水期のみに出現する水位変動域の小型哺乳類による利用を明らかにした.水位変動域と通年陸域において捕獲・再捕獲調査を行った結果,208個体のアカネズミと2個体のヒミズが捕獲された.
水位変動域において,アカネズミは貯水池の水位低下直後の植生が乏しい(植被率25%未満)時期でも捕獲され,植被率の増加に伴い捕獲率は増加した.また,水位変動域で捕獲,再捕獲された個体が確認されたことから,水位変動域の利用は一時的なものではないと考えられる.アカネズミ捕獲率は,水位変動域と通年陸域で大きな差はなかったことから,水位変動域はアカネズミの生息地として機能すると考えられる.
2012年12月26日受付, 2013年10月25日受理
*e-mail: nishida-morikazu@oyonet.oyo.co.jp
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