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応用生態工学 11(1), 63-79, 2008
事例研究 CASE STUDY
帝釈川ダム下流における流況改善に伴う水生生物の変化
村田 裕1)・浅見 和弘2)・三橋 さゆり3)・大本 家正1)
1) 財団法人ダム水源地環境整備センター 〒102-0083 東京都千代田区麹町2−14−22) 応用地質株式会社 〒963-7722 福島県田村郡三春町大字西方字石畑275
3) 国土交通省河川局 〒100-8918 東京都千代田区霞ケ関2−1−3 1) Water resources Environment technology Center, 2-14-2 Kouji-machi, Chiyoda-ku, Tokyo 102-0083, Japan
2) OYO Corporation, 275 Aza Ishibata, Oaza Nishikata, Miharu-machi, Tamura-gun, Fukushima 963-7722, Japan
3) River Bureau, Ministry of Land, Infrastructure and Transport, 2-1-3, Kasumigaseki, Chiyoda-ku, Tokyo 100-8918, Japan
摘要:
78年間,維持流量が設定されていなかった高梁川水系帝釈川ダム下流に,2001年7月から2003年3月にかけて順次0.1m3/s,0.2m3/s,0.348m3/sの維持流量が放流され,2003年3月14日からは再開発事業に伴う工事によりダム流入量=放流量(自然流況:2〜4m3/sが多い)となった.維持流量0.1m3/s放流により瀬切れはなくなり,流況改善に伴い流水が回復した. 流況改善に伴う生物群集の対応を把握するため,糸状藻類,魚類,底生動物の変化を追跡した.糸状藻類は,維持流量放流後は,流量が一定のため繁茂したが,自然流況となり流況変動が大きくなると,剥離が進み減少した.魚類は,維持流量放流時(調査時の流量0.1m3/s,0.2m3/s)と自然流況時(調査時の流量4.0m3/s)を対比したが,自然流況後,平瀬を好むオイカワが減少し,魚類によっては生息環境の減少につながると考えられる.魚類全体としても,帝釈川ダム下流は,種数,総個体数が増加することはなかった.底生動物は,2002年2月の第1回調査では,ダム下流でカワニナなどが優占し,種数,総個体数,多様度指数も低かったが,流況改善1年程度でそれ以前と大きく種構成が変わった.時間経過に伴いカゲロウ目,トビケラ目が増加し,全体の種数,総個体数,多様度指数のいずれも増加し,ダムの影響を受けていない他の地点との差が少なくなった.
2006年3月19日受付,2007年10月9日受理2) e-mail: azami-kazuhiro@oyonet.oyo.co.jp
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