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沿岸環境関連学会連絡協議会 第12回ジョイント・シンポジウム


★☆ 内湾河口漁場の崩壊過程―その検証を予防と再生に活かす ☆★

2005年2月12日(土)10〜17時
東京大学駒場キャンパス 学際交流ホール
東京都目黒区駒場3-8-1 
東京大学教養学部・東京大学大学院総合文化研究科

主催: 沿岸環境関連学会連絡協議会(日本水産学会・日本海洋学会海洋環境問題委員会・土木学会海岸工学委員会・日本水産工学会物質循環研究会)
後援: 日本生態学会・土木学会水工委員会・応用生態工学会
<趣旨>
 日本の内湾の河口域は歴史的にも漁場として活用されてきたが、水質悪化や大規模な埋立や干拓によりその物理環境は大きく変貌し、漁場の喪失や崩壊が生じた。河口域は陸域と海域の接点にあって、その環境は背後地の開発・保全の状況を反映している。またか広域は公害でも環境問題が顕在化し、対策も進められてきた。
 一方、河口域は、水産業の面だけでなく、生物多様性、バイオマスの観点からも改めて、その保全や再生が注目されている。
 本シンポでは、地域での長年にわたる調査研究をもとに、河口漁場の変遷を漁業・生物・土砂や地形を中心とする物理環境の点から俯瞰的に議論する。アサリやノリ、甲殻類など内湾の漁業生物として指標性の高い生物種を挙げ、比較論の観点からも論ずる。
 河口漁場環境の研究は水産学では1970年代以前には各地で盛んに行われていたが、漁場の悪化により研究自体も少なくなった。現役の沿岸環境研究者の多くが、過去の漁場や漁業の状況を聞いて、その想像を絶する豊かさに驚くような状況となっている。水産資源崩壊、豊かな漁場、という言葉から想起する内容も世代により異なっており、たとえば再生目標の議論などでも整理が困難なことも多い。特に東京湾については、豊穣の海だった時代を克明に記憶されている方々のお話を伺い、文書化されていない情報を継承する緊急性も高まっている。 現在、環境の再生が検討されている東京湾と有明海の代表的な河口域を対象とし、開発段階が異なるこれら2湾の比較により論点を明らかにする。「東京湾の河口漁場の崩壊過程が、時間差をもって有明海に迫ってきていた」との作業仮説をもとに、議論を行う。 東京湾では、環境悪化が深刻だった高度成長期以降に、各種の水質・環境対策がなされてきたが、数十年にわたる努力の結果、河口域の生物たちがよみがえりつつある。これらは、「再生」という長期間にわたる多方面の努力の将来的なビジョンを描く上でも重要な知見と考えられる。 研究者や自治体が作成した環境変遷の資料をもとに、崩壊に関与した要因の洗い出しを行い、複数の要因が時間差をもって影響する環境問題への対処を考える。特に、地域に即した長期モニタリングによる水産生物情報や研究の「予防」や「再生」への貢献に注目したい。
☆開催挨拶 10:00-10:10
日本水産学会水産環境保全委員会 広石伸互(福井県大・生物資源)
沿岸環境関連学会連絡協議会 灘岡和夫(東工大・院・情報理工)
☆趣旨説明 10:10-10:30
内湾漁場環境の変遷に関する水産系情報の重要性−比較河口学の視点から 清野聡子(東大院・総合文化)
☆東京湾 〜憶えていますか?首都の地先がこんなに豊かな漁場であったこと〜
・ 10:30-11:30 東京湾漁場の過去の豊かさを語る 塩屋照雄(元東京都水産試験場長)
・ 11:30-12:00 東京都の河口域周辺の漁業と遊漁の現状 −人工海浜が水産生物の生息に果たす役割(アサリ、アユを中心に) 千野 力(東京都水産試験場八丈分場)
・ 12:00-12:10 東京都の漁業の変遷の情報 東京都農林水産部水産課(資料提供と紹介)
☆有明海 〜今、まさに壊れつつある豊穣の海よ〜
・ 13:00-13:40 汽水域の魚類相からみた有明海の河口漁場の崩壊過程 田北徹(長崎大名誉教授)
・ 13:40-14:20 有明海における河口・干潟域の変化と漁業 佐々木克之(日本海洋学会海洋環境問題委)
・ 14:20-14:50 水域のモニタリングデータによる有明海奥部の透明度と懸濁物負荷量の長期変動過程の研究 清本容子・田中勝久(水産研究センター・西海区水研)・中田英昭(長崎大・水産)
☆日本の河口研究
・14:50-15:20 日本の河口の物理環境の変遷と研究史 田中仁(東北大・院・工)
☆総合討論 15:30-16:50
座長 日野明徳(水産環境保全委/東大院・農)+清野聡子
☆閉会挨拶 16:50-17:00
日本海洋学会海洋環境問題委員会
☆申し込み、企画内容問合せ先     
清野聡子(日本水産学会水産環境保全委員会)
連絡先:東京都目黒区駒場3-8-1 東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学科
tel 03-5454-6793, fax 03-5454-6998
※お申し込み・お問合せは可能な限りメールでお願いいたします。
※資料準備の都合上、2月10日までにお申し込みください。
※講演時間は多少変動する可能性もあります。