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応用生態工学会ニュースレター No.54

Ecological and Civil Engineering Society(ECES)


2011年12月7日 (水) 発行
〔発行所〕応用生態工学会事務局 :
〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7-5 麹町ロイヤルビル405号室
TEL. 03-5216-8401 FAX. 03-5216-8520 E-mail: eces-manager@ecesj.com
〔発行者〕応用生態工学研究会 (編集責任者: 幹事長 藤田光一,事務局長 高橋眞彦)

目次

  1. はじめに
  2. 第15回 大会報告
  3. 理事会・幹事会報告
  4. 海外学会参加報告
  5. 行事開催報告
  6. 学会ホームページに関するアンケート
  7. 事務局より
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1 はじめに ページトップへ

2011年9月14日〜17日に開催された第15回金沢大会は,盛会のうちに幕を閉じました.今回のニュースレターでは,金沢大会の報告に加え,第15回総会で承認されました正会員年会費値上げについて,値上げに至った経緯,同じく同総会で承認されました第8期役員改選の結果,第3次中期計画の見直しに向けた動きなどについてお伝えします.また,各委員会の動向や地域研究会によるフィールドシンポジウムなどの様子もお伝えします.


2 第15回 大会報告 ページトップへ

2.1 第15回総会報告


平成23年9月17日(金)10時30分〜11時30分に石川県立音楽堂邦楽ホールにおいて,第15回総会が開催されました.総会議長には石川県立大学准教授の 一恩 英二 氏が選出され,議事進行に当たられました.議事のうち,報告事項の「2010年度事業報告」,並びに審議事項の「第1号議案:2010年度決算・監査報告」,「第2号議案:2012年度事業計画案」につきましては,以下のURLに総会資料を掲載していますのでご覧ください.

http://www.ecesj.com/J/events/annual/15th_meet/15th_soukaisiryo.pdf

2.1.1 第3号議案:2012年度予算案について(会費値上げに至った経緯)

2012年度予算の策定に当たり,収入・支出の見直しを行いました.ここ5年間の推移を見ても,会費収入実績は減少する傾向にあります.収入減に伴う学会活動の質の低下を防ぐため,事務局では様々な支出削減対策に取り組んでいます.以下に,これまで行った主な削減対策と,会費値上げに至った経緯について説明いたします.

 (1) 経費削減の取り組みと事務局運営の健全化

事務局がこれまで取り組んできた主な経費節減対策は,以下の通りです.

  1. 役員会・各委員会での旅費・交通費の縮減
  2. ニュースレターの電子配信化(約50万円減額)
  3. 電話リースの廃止(約10万円減額)
  4. コピー機リースの見直し(リース代 約4,000円/月 減額,紙代:白黒5円から3円へ,カラー28円から22円へ)
  5. 会計士顧問料の見直し(約30万円減額)
  6. 会誌印刷代の見直し(約60万円減額)
  7. 委員会等における会場費等の節減など

こうした事務局経費等の削減により,2011年度には合計で約100万円の支出削減を見込んでおり,2012年度予算においても削減策の継続を前提にした予算組みとしています.

一方で,学会が大きくなるとともに事務局作業が煩雑化し,事務局運営の健全化が求められていました.平成23年8月23日の理事会でもこの問題が取り上げられ,アルバイト費確保の必要性が認められました.これを受けて2012年度予算では,「将来的に事務局体制に関わる経費を大きく変更することなく,事務員1名と非常勤の事務局長1名の恒常的体制に円滑に移行していくこと」を想定し,事務員確保のための予算として200万円を計上しています.

 (2) 会費の値上げについて

以上のような状況の中で,事務局運営の健全化を前提に,今後,収支均衡を持続的に維持していくためには,収入増を安定的に図っていくことが必要となります.この方策について,幹事会で検討し,理事会で審議した結果,学生会員費と賛助会員費は据え置き,正会員費のみ1,000円値上げし,6,000円とする事が承認されました(12ヶ月で均等割をすると,月額500円の会費となります).

2012年度予算案は,この会費値上げを前提に策定されており,中期計画実行費130万円を確保しつつ,約8万円の黒字となる見込みです.

詳細な数字につきましては,ホームページに掲載されている第15回総会資料をご覧ください.

2.1.2 第4号議案:役員の改選

学会規約(第10,11,13条)および「次期役員募集・推薦委員会規程」に基づき,次期役員候補として会長候補(1名),副会長候補(3名),理事候補(14名),監事候補(2名)が,次期役員募集・推薦委員会により推薦されました.

メールおよび郵送による各個人ごとの信任投票を経て,第15回総会で全員が選出されました.また,学会規約(第12条)に基づき,幹事長(1名),幹事(14名)が理事会により推薦され,第15回総会にて選出されました.

 (1) 会長職代行者並びに副幹事長の任命

総会の後に行われた新役員による第8期合同役員会において,学会規約第10条第5項に基づき,近藤会長より,会長職務代行者が指名されました.

会長に事故のある場合は,谷田副会長,池淵副会長,中村副会長の順により職務を代行するよう指名が行われ,理事会の承認を得ました.

同時に,学会規約第12条第5項に基づき,藤田幹事長より副幹事長として萱場幹事が推薦され,近藤会長により任命されました.

 (2) 第8期理事会・幹事会名簿

第15回総会で選出された理事・幹事の方々は,以下の通りです.


[第8期会長:1名](敬称略)

近藤  徹(再任)  国土総合研究機構 顧問

[第8期副会長:3名](50音順・敬称略)

池淵 周一 (再任)  (財)河川環境管理財団 研究顧問
谷田 一三 (再任)  大阪府立大学 教授
中村 太士 (新任)  北海道大学大学院 教授

[第8期理事:14名](50音順・敬称略)

浅枝  隆 (新任)  埼玉大学大学院 教授
江崎 保男 (再任)  兵庫県立大学 自然・環境科学研究所 教授
風間ふたば (再任)  山梨大学大学院 教授
河ア 和明 (新任)  (財)河川環境管理財団 審議役
久保田 勝 (新任)  東北電力 顧問
熊野 可文 (再任)  利根川歴史研究会 事務局長
小島 伸一 (新任)  いであ株式会社 代表取締役社長
島谷 幸宏 (再任)  九州大学大学院 教授
関根 雅彦 (再任)  山口大学大学院 教授
玉井 信行 (再任)  金沢学院大学大学院 教授
辻本 哲郎 (再任)  名古屋大学大学院 教授
藤原 宣夫 (新任)  大阪府立大学大学院 教授
松井 正文 (再任)  京都大学大学院 教授
渡辺 和足 (再任)  (財)ダム水源地環境整備センター 理事長

[第8期監事:2名](50音順・敬称略)

曽根 好徳 (新任)  応用地質株式会社 執行役員
廣澤  遵 (新任)  株式会社建設技術研究所 東京本社次長


[第8期幹事長:1名](敬称略)

藤田 光一 (再任)  国土交通省国土技術政策総合研究所河川研究部 河川研究部長

[第8期副幹事長:1名](敬称略)

萱場 祐一 (新任)  (独)土木研究所 自然共生研究センター センター長

[第8期幹事:13名](50音順・敬称略)

東  信行 (再任)  弘前大学 准教授
仮谷 伏竜 (新任)  株式会社建設技術研究所 北海道環境室 主幹
河口 洋一 (再任)  徳島大学 准教授
五味 高志 (再任)  東京農工大学 准教授
坂之井和之 (再任)  (財)リバーフロント整備センター 水辺・まちづくりグループ長
島崎 由美 (新任)  いであ(株) 内部統制本部 部長
関島 恒夫 (再任)  新潟大学 准教授
高橋剛一郎 (再任)  富山県立大学 教授
高村 典子 (再任)  (独)国立環境研究所 生態系影響評価研究室長
高村 裕平 (新任)  国土交通省水管理・国土保全局河川環境保全調整官
田代  喬 (新任)  名古屋大学 准教授
三宅  洋 (新任)  愛媛大学大学院 理工学研究科環境建設工学コース 講師
武藤 裕則 (再任)  京都大学 准教授

2.1.3 規約細則改正 報告

第55回理事会(2011年2月4日開催)で,会費に関わる規約細則について,「正会員が当該年度全国大会後に入会する場合は当該年度会費を半額とする.」ことが決議されています.また,「賛助会員の入会金(200,000円)」については,学会発足当初に活動するための収入として重要でしたが,現在では賛助会員の入会の妨げとなることから,入会金自体を廃止することが決議されました.

第57回理事会(2011年8月23日開催)では,会費に関わる規約細則について,正会員の年会費を1,000円値上げして,6,000円とすることが決議されました.経緯については,前出の「(1)第3号議案:2012年度予算案について」をご覧ください.

第15回総会で,理事会から報告された規約細則の改正内容は,以下の通りです.

規約細則(旧)

(会 費)
第4条  本会の会費については,平成9年度以降次の通りとする.ただし,賛助会員の入会金については,理事会で審議し,これによらないことがある.
 1 正会員     年額    5,000円
 2 学生会員   年額    2,000円
 3 賛助会員   年額   100,000円(1口以上)
 入会金           200,000円(賛助会員のみ)
 4 名誉会員は,会費を免除する.

規約細則(旧)

(会 費)
第4条  本会の会費については,平成23年度以降次の通りとする.ただし,正会員が当該年度全国大会後に入会する場合は当該年度会費を半額とする.
 1 正会員     年額    6,000円
 2 学生会員   年額    2,000円
 3 賛助会員   年額   100,000円(1口以上)
 4 名誉会員は,会費を免除する.

(付 則) 本細則は,平成23年8月23日に改正し施行する.


2.2 第15回金沢大会報告

(責任者)金沢大会副実行委員長 中村 浩二

2.2.1 【あいさつ】(玉井 信行 大会実行委員長)

応用生態工学会第15回全国大会が平成23年9月14日から17日の4日間にわたり,金沢で開催されました.研究発表会は金沢学院大学,公開シンポジウムは石川県立音楽堂邦楽ホールを会場としました.

参加者は,エクスカーション(1日コースと半日コースの合計)は59名,研究発表会(口頭発表とポスター発表)は260名,懇親会は201名,公開シンポジウムは230名でした.

また,財源については,河川整備基金のほか石川県,金沢市,石川県建設コンサルタント協会,北陸技術士懇談会から助成金の支援をいただくとともに人件費の削減や広告収入などで何とか赤字にはならない運営ができました.ご支援をいただいた諸団体に厚くお礼申し上げます.

大会全体を通じ盛会裡に終えることができたのも,講師の皆様はじめ大会参加者の皆様,そして富山をはじめ新潟,福井の地域研究会幹事の応援をいただき精力的に活動した実行委員及び関係者の皆様のお陰であり,心よりお礼を申し上げます.


2.2.2 【はじめに】(山本 光利)

一昨年,応用生態工学会金沢の幹事会で,玉井先生から全国大会を金沢で開催してみないか,との話があり,困難さをわきまえず幹事一同が「やろう,やろう」と気勢を上げたところから始まりました.右も左もわからない幹事達は札幌大会に参加し,それを参考に準備を進めることにしました.

金沢大会の特徴としては,
  ・ 初めての政令指定都市以外での開催であること
  ・ 全国大会が実行委員会の責任で実行される最初の例であること
  ・ 知事(公開シンポジウム),市長(懇親会)の挨拶をいただいたこと
  ・ 金沢らしさを織り込んだこと
  などです.

今大会では,様々な難問題もありましたが,玉井実行委員長の強いリーダーシップで無事大会を終えることができました.

以下,日程順に各部会長が報告します.


2.2.3 【エクスカーション9/14】(中川 浩)

『水源の森から河口まで』と銘打った手取川コースは,水源林に囲まれた白山の登山基地市ノ瀬から,日本海の荒波が打ち寄せる美川海岸まで全行程160キロという,かなりの強行軍であった.
 途中,手取川扇状地の扇頂から河口までの約20キロは見晴らしの良い河川堤防の上から,河原の石礫や河床変化,植生の状況を連続して調査・観察しながら走るルートとした.
今回は,手取川エクスカーションにあたり,前日13日の夕方,石川県立大学において河川地形の成り立ちを学ぶ実験セミナーが,池田先生(元筑波大)の解説で行われた.

実験セミナー風景→



 ↑十八河原公園
 天候に恵まれた当日は,上流部で手取峡谷の成り立ち,昭和9年の大洪水時に2キロも流下した百万貫の岩(石),新しい知見に基づく瀬戸砂防堰堤のスリット化工事,中流域では手取川本来の石の河原復元対策,中小洪水の頻度が落ちたことによる河畔植生の推移等について池田先生,柳井先生(石川県立大),国交省金沢河川国道事務所の藤田課長,大角課長から説明を受けるとともに,議論を深めた.
 また,地域の歴史・文化と密接に関連する白山比盗_社(全国の白山神社総本宮)へ立ち寄り,宮司さんから白山や手取川と神社の繋がりについてお話を聞くことができた.

一方,『金沢の里山とまちなか用水コース』は,半日で実施された. 地域の人たちとも連携して里山研究の拠点となっている,金沢大学「角間の里自然学校」では,中村浩二金沢大学教授(今大会副実行委員長)が研究活動の一端や施設の紹介を行った.その後は,様々な地域環境に配慮して築造の進む辰巳ダムの現場を調査し,また,まちなかの武家屋敷跡の街並みに調和して流れる古い用水を散策し,短時間ではあるが金沢情緒を楽しんだ.

今回のエクスカーションが応用生態工学的知識の習得や技術構築に向けての一助となれば幸いです.


2.2.4 【研究発表会9/15,16】(高橋 剛一郎)

(1) 発表件数等

 今回の研究発表は,口頭発表43件(国際セッションの発表13件を含む),ポスター発表50件,合計93件であった.昨年度の札幌大会の104件や一昨年度の埼玉大会の113件には及ばないものの,それより前の大会における発表件数を上回っている.政令指定都市以外の大会であることを考えれば,活発な研究発表が継続ないしはいっそう活性化しているといえるのではないだろうか.今大会では,一昨年の埼玉大会で初めて行われた英語のみによる口頭発表のセッション(国際セッション)を復活させた.いまや研究者のみならず技術者も国際的な場で活躍することが増え,英語で議論することが必須であることを考慮した再開である.ポスター発表は9月15日に,口頭発表は翌16日に行われた.口頭発表は,同日夜の懇親会会場への移動時間がかかるため,3つの会場で並行して行うということになった.

(2) 発表賞等

主たる発表者が学生・ポスドク研究者および現場技術者・行政担当者のうち,事前に審査への申込みをした発表が対象で,ポスター発表では30件,口頭発表では14件の発表が審査対象となった.国際セッションの発表と日本語の発表は区別せずに同じ基準で審査を行った.その結果,6件のポスター発表賞と3件の口頭発表賞が決定された.

【ポスター発表賞】
  • 1-9 『微量元素を用いた三春ダム生息魚類の生息地判別』,発表者:石崎陽子(弘前大学)ら
  • 2-1 『サクラマスの生活史を通じた魚道の整備効果の検討』,発表者:渡辺恵三(北海道技術コンサルタント)ら
  • 3-1 『九州における汽水性希少ハゼ類の分布パターンと流域特性』,発表者:乾隆帝(徳島大学)ら
  • 4-5 『降海型イトウの回遊履歴と胃内容物組成』,発表者:鈴木享子(東京大学)ら
  • 5-6 『固定床河川における流砂の伝播特性と水制を利用した生態系機能の回復技術』,発表者:久加朋子(京都大学)ら
  • 6-3 『国内外来魚ハスの定着予測―ダム環境データベース情報を用いた分布予測モデルを実調査データで補正する試み―』,発表者:井原高志(九州大学)ら
【口頭発表賞】
  • 5-4 『水田除草剤に対する植物種毎の生態毒性影響の違い』,発表者:小森瑞樹(木更津高専)ら
  • 6-5 『ダム湛水がザリガニに与える影響について−ラジオテレメトリーシステムを用いた越冬前の行動特性の検討−』,発表者:飯村幸代((社)北海道栽培漁業振興公社)ら
  • 国-12 『Effect of Fragmentation on Local Extinction Probability of Freshwater Fishes in the Sagami River』,発表者:IWASAKI Akito(Tokyo Institute of Technology)ら

受賞発表9件のうち6件が魚,1件がザリガニを対象としている.また1件が河川における生態系回復をテーマとしている.その中にあって水田除草剤と植物への毒性を対象としたテーマが選ばれたことは,研究の幅の広がりを期待するうえで貴重である.

2.2.5 【自由集会9/15,16】(佐渡 正)

『日韓セミナー』は2004年以来,日韓交互の地でセミナーを開催してきており,今回第9回を迎えた.『エコシステムアプローチによる河川・流域の自然復元』のタイトルのもと,韓国から8名・日本から45名の参加があり,口頭発表10件・ポスター発表9件・パネルディスカッションが行われ,大変充実した内容であった. “生態系サービス”を今後どのように評価して行くのかという,次の目標も浮かび上がった.

『水田・水路生態系における魚類研究の現状と課題』は,現状と課題の整理・今後に向けた提言を主とした示唆に富んだ講演を受け,活発な議論が展開された.また,この集会ではその場限りのものとしないため,学会誌でミニ特集を企画することとしている.

『絶滅が危惧されるヤツメウナギ類の進化,生態そして保全を考える』は,“生きている化石”と言われるヤツメウナギ類の生態と利用・保全に関する7件の発表があり,我が国における同類の研究の現状と課題が認識され,参加者からはあまり馴染みのない同類の生態や保全技術を知ることができたとの意見が多かった.

『わが国における天然記念物4魚種の応用生態工学的保全の現状』は,4魚種について近年行われている応用生態工学的な保全対策の講演を受けて熱心な議論が行われ,現状の保全対策の有効性への賛同と,今後の検討の方向や更なる学術的発展に対する将来展望を見出した.

2.2.6 【懇親会9/16】(大西 政弘)

金沢大会では趣をかえ,懇親会を金沢城公園の復元建造物である「金沢城五十間長屋」で開催した. 五十間長屋は現存する三十間長屋(重要文化財)と同様「武器・弾薬,兵糧」を納めて置く倉庫として造られた建物で,現存する資料に加え発掘調査を行い史実に忠実に基づき,材料は全て地元産を使用し,100年後の重要文化財を目指し構築された.参加者は予定を大幅に超え,懇親の実を上げることが出来た.

優秀発表賞表彰に続き主計町の芸妓衆の笛や太鼓による踊りで,金沢市伝統芸能のお披露目が行われた.芸妓さんを交えた酒宴は大変好評であった.金沢,加賀,能登の地酒に加え,各地域の普及・連携委員による名産とお酒のコーナーも設置され,交流は大いに盛り上がった.

玉井実行委員長の開会宣言,近藤会長の挨拶,山野金沢市長の歓迎挨拶の他,翌日の公開シンポの講師紹介,自由挨拶などもあり,予定時間をオーバーし,中村副実行委員長の音頭で締めが行われた.

2.2.7 【公開シンポジウム9/17】(山本 光利 他)

公開シンポジウムは,『エコリージョンを考える』 〜生物多様性と地域の歴史と伝統に基づく流域管理〜 と題し,石川県立音楽堂邦楽ホールで開催された.
 最初に玉井実行委員長からテーマのエコリージョンの説明を含め開会の挨拶があり,続いて石川県知事(代理,鈴木県参事)から歓迎の挨拶が行われた.

基調講演はエコリージョン概念を発展させた先駆者の一人であるRobert Bailey博士(アメリカ森林局ロッキー山脈研究所)による「エコリージョン,エコロジカルなデザインと持続性」と島谷幸宏教授(九州大学大学院工学研究院)による「エコリージョンに基づいた河川環境の評価手法」であった.続いて,こうした考えによって川の分析を行った具体的な事例について,以下の4つの講演が行われた.

Robert Bailey博士↑

  • 生態系管理のツールとしての日本列島のフィジオトープ・エコリージョンの開発(Chen Siew Fong)
  • 淡水魚類の分布,歴史,エコリージョン(渡辺 勝敏)
  • 河川水辺の国勢調査を利用した河川環境評価の試み(天野 邦彦)
  • 生態系評価を地図化する試み(中村 太士)

後半のパネルディスカッションは,コーディネーター(玉井信行),パネリスト(ロバート・ベイリー,島谷幸宏,中村太士,チェン・シュフォン),コメンテーター(渡辺勝敏, 天野邦彦)という構成で行われた.パネルディスカッションにおける議論は以下のようにまとめられる.

(1) エコリージョンと地域の歴史と伝統との関係について

エコリージョンは自然の因子によって分類されることになるが,そこに育つ作物や動植物が,食物を通して地域の文化や伝統を育くみ,自然と社会には密接な関係が認められる,という共通認識が確認された. この課題に関する結論は,応用生態工学の観点から自然環境を考えるには,自然と社会をそれらの歴史を含め総合的に理解する必要があること,および,現在われわれが眼にする自然景観は既に変化を受けた結果であるので,かつての姿の復元が必要であり,それを可能にする学術の深化が求められていることであった.

     北國新聞 2011年9月16日 朝刊より→

(2)  エコリージョンと流域管理について
 流域はエコリージョンに中に組み込まれた,一段階小さな領域であり,生態的管理を目指すときには,多段階の規模(すなわち,大規模,中規模,小規模)における生態系の特性と), 水域と陸域の双方を考えるべきであることが述べられた.

(3)  まとめ

  1. 原初的な区分としてエコリージョンを考えるが,その中で規模の階層性を考えることが重要である.
  2. 現状の自然景観によるエコリージョン区分は,元来の自然の姿と乖離していることを理解すべきで ある.潜在的自然(Potential)と現実の自然(Actual)とは別のものである.
  3. エコリージョンに対する考え方や区分には多数の結果がありうる.しかし,流域管理は一つのモデルに従って行ってよく,適切なモデルを提案することは応用生態工学会の役割ではないか?

3 理事会・幹事会報告 ページトップへ

金沢大会開催中の9月17日(土)に,第49回幹事会,第58回理事会が開催されました.幹事会,理事会での報告事項および審議事項について報告します.

3.1 第58回理事会

日 時:2011年9月17日(土) 9:45〜10:25

場 所:石川県立音楽堂邦楽ホール 和室

出 席:近藤会長,池淵副会長,谷田副会長,熊野理事,島谷理事,玉井理事,辻本理事, 中村理事,渡辺理事,藤田幹事長            事務局:高橋事務局

これまでの理事会・幹事会の審議・報告事項、並びに各委員会の報告が行われた後、東日本大震災に対する当学会の対応について、活発な議論が行われました。これに先立ち、報告事項-1並びに報告事項-3では,理事からの意見,補足説明がありました.

3.1.1 前回までの理事会(〜第57回理事会)の概要

(1) 【報告事項-1】科学研究費補助金のキーワードに「生態工学」が取り上げられた件

平成23年8月4日付けで研究振興局学術研究助成課から出された「平成25年度科学研究費助成事業−科研費−の公募から適用する「系・分野・分科・細目表」の改正案について」で,キーワードとして「生態工学」が入っていることが報告された.

分野分科細目番号細目名キーワード(記号)
総合系環境学 環境創成学 1601 自然共生システム (1)生物多様性,(2)生態系サービス,(3)生態リスク,(4)生態系影響解析,(5)生態系管理・保全,(6)リモートセンシング,(7)景観生態,(8)生態系修復,(9)代償措置,(10)生態工学

● 科学研究費補助金のキーワードに「生態工学」が取り上げられた件について,理事からの意見がありました.

 【第58回理事会意見】

  • 25年度の科学研究費補助金のキーワードに「生態工学」が取り上げられたことは非常に重要なことなので,今後,1年間をかけて会員に周知すべきである.
  • 日本学術振興会から審査員になられそうな先生には登録の案内が来ていると思うので,候補になりそうな中堅の先生方に,登録申請する際のキーワードとして「生態工学」を入れてもらうように働きかける.

(2) 【報告事項-2】第56回 理事会(メール会議)結果報告

複数の理事から海外学会派遣者の応募資格及び審査を明確にすることと言う意見が出され,国際交流委員会で審議することとなった.

(3) 【報告事項-3】河川生態学術研究会からの技術援助要請について

河川生態学術研究会より,2011年11月17日に開催される「第14回 河川生態学術研究発表会」での当学会との共催要請があった.技術援助委員長から報告があり,理事会で承認された.

● 河川生態学術研究会への技術支援について,辻本技術援助委員長から補足説明がありました.

  • 河川生態学術研究会の親委員会に,応用生態工学会の技術援助委員会からの派遣を行っている.河川生態学術研究会に属さない委員に出て頂いて,第三者的な視点で研究会に参加頂いている.

(4) 【報告事項-4】第15回金沢大会におけるポスター賞,口頭発表賞の審査

金沢大会における賞の審査要請があり,幹事会が全面的に協力していくことを報告した.
 今後,賞のあるべき姿について幹事会で議論し,理事会に諮ることとなった.


(5) 【審議事項-1】2012年度(平成24年度)予算案

幹事会で,予算に対する中期計画実行費150万円の位置付けを中心に審議が行われ,「中期計画をもう一度見直した上で,中期計画予算をどのように使うかを幹事会で議論する.」こととなった.

<第57回理事会意見>

中期計画の予算は,本来は会員増加対策のための予算であるが,各アクションプランの中でその手段が明確になっていないため,幹事会で中期計画をもう一度見直した上で,改めて予算をどの様に使うかを議論すること.

(6) 【審議事項-2】中期計画に基づく検討事項−事務員常駐とそれに伴う財源−

幹事会より提出された会費値上げ案について審議され,幹事会(案)が承認された.

 <第48回幹事会(案)>

  • 事務員1名を,月額15万円の給与制として年間契約する.
  • そのための財源として正会員の年会費を1,000円値上げし,6,000円とする.

<第57回理事会意見>

  • 値上げに当たっては,事務局事務を簡素化し,恒常的に維持できる新体制を会員に示すこと.
  • 事務局のあるべき将来像としては,常駐の事務員と週1〜2回の頻度で出勤する事務局長の2名体制とし,学会員OB等の事務局長起用も含めた合理的な体制を検討すること.

(7) 【審議事項−3】:三学合同の全国大会について

日本緑化工学会と景観生態学会から申し入れのあった三学合同の全国大会について,幹事会意見が審議され,基本的には開催の方向で了承された.

 <第48回幹事会(案)>

  • 幹事会は,緑化工学会が幹事学会となる事を前提に,基本的には三学合同大会について賛成である.
  • 開催は東京となるので応用生態工学会(東京)の合意が必要である.(すでに同意済み)

(8) 【審議事項−4】:事例集,講習会テキスト等の刊行に向けて

第48回幹事会で,テキスト等の刊行に向けての審議が行われた.この件については,今後とも継続して審議することとなった.

(9) 【審議事項−5】:東日本大震災に対する当学会の対応について

一部の理事・幹事から「東日本大震災」に対する当学会の対応についての問題提起があり,この問題提起にたいし,幹事会で今後の震災対応についての審議が行われた.

この件については理事会でも対応策として様々な案が出たが,一朝一夕に解決できる問題ではないので,今後とも幹事会の検討を含め,議論して行くことになった.


3.1.2 委員会報告

金沢大会の期間中(理事会前日まで)に開催された各委員会の審議結果が,幹事長より報告されました.

(1) 会誌編集委員会 : 森委員長

  1. 震災に関する特集はまだ時期が早いとの判断があり,当面は計画しない.今大会の自由集会の成果をベースに,今後,企画を検討する.
  2. 9月6日から新編集システムが運用となっており,今後の投稿はすべて新システムで受け付け,編集作業もそちらで行う.
  3. 「事例報告」または「調査報告」という名称で,新投稿カテゴリーを作り,投稿促進,会誌の魅力化を図る.
  4. 新投稿カテゴリーについては「応用生態工学の知見を活用して実施された事業に関する調査・解析結果や調査方法の工夫などに関するもの」というような文案をもとに,今後,投稿規程を修正する.
  5. 新投稿カテゴリーでは,事業の背景・目的,経緯,調査の実施方法,期待された成果,調査結果などを記載するものとする.見本,フォーマットを今後整備する.ページ数は2ページ程度とする.
  6. 担当編集者が編集を引き受けてからの手順,要領を示したもの,マニュアル等を,今後,整備する.

(2) 普及・連携委員会:竹門委員長

  1. 金沢大会実行委員会に参加した委員は,大会の運営などについての記録のデータベースを作成し,次回開催地に申し送りをする.
  2. 普及・連携委員会の幹事長,庶務,書記は,以下の方々にお願いすることとなった.
       幹事長:岩瀬氏    庶務:澤氏    書記:厨子氏
  3. 次回の委員会までに,これまでの会計情報などを事務局から収集し,幹事長,庶務が運営ルールなどをまとめて,書記が文書化する.
  4. 限られた予算の中で,今後,それぞれの地域でどのような地域活動を展開するか,各地域の資金対策,次回のフィールドシンポについての資金繰り等について,メール会議などで検討を行う.
  5. 今後,各地に規約が必要になると思われるため,既存の規約がある地域から事務局を通して各地に配信してもらい,今後の規約作成の参考にする.

(3) 国際交流委員会:五味委員長

  1. 若手海外派遣の審査規程(案)について審議した.審議結果は,以下のとおりである.
     ・2012年度は,例年通りの規模(予算額15万円)で実施する.
     ・募集要項に,1名の募集であることを明記する.
     ・学会誌の論文投稿が条件であることを,明記する.
  2. 金沢大会時に開催された日韓セミナーについて,今後,役割分担など,国際交流委員会としてどのように進めていくかが議論された.
  3. 来年度の三学合同大会では,今年度の国際シンポジウムをフォローアップする内容で実行する.また,JSPS等への対応を検討する.

(4) 情報サービス委員会:萱場委員長

現在,会員がより使いやすいHPの構築を目的として,HPを通じた「HPの改善についての意見」徴収のための準備を行っている.具体的な計画は次の通りである.

  1. 近日中に,現状のHP構成,内容等についての意見を聞くアンケートフォームを用意する.
  2. ニュースレター54で,アンケートについての案内を行う(12月配信予定).
  3. 1月末を期限として,意見を徴収する.
  4. 3月末までにアンケートの取りまとめを行い,内容について検討する.

(5) 将来構想委員会:谷田委員長

  1. 中期計画検討項目について
    • 事務局経費の健全化,経費削減,会員増,サービス向上,テキスト出版等については,幹事会・理事会で検討を進めてもらっているので,今後に期待する.
    • 旅費のいっそうの削減,見直しなど,できることはまだあるので,それを徹底してほしい.
    • 各地域での活動は活性化して欲しいが,本体の補助をあまりあてにせず,基金や賛助金を得るなど工夫し,独立採算でやっていくことが望ましい.
  2. 中期計画の見直し等について
    • 現在の計画が2013年までであり,次回の委員会で以降の構想について検討していく.
  3. 将来構想委員会の運営担当について
    • 学会運営と密接に関係し,検討資料作成は学会事務局でないと難しいことも多いので,学会事務局で運営を行うこととする(技術援助委員会と同じ体制).

3.1.3 第58回理事会 審議事項

(1) 東日本大震災に対する応用生態工学会としての対応について

東日本大震災に対する当学会の対応について,活発な議論が行われました.具体的な対策については,今後継続して審議することとなりました.
【理事会意見】

  • 他学会では,震災特別委員会と言ったものを作っている.復興対策には,応用生態工学的な知識が必ず必要となるので,委員会を立ち上げ,いろいろな対策を考えていた方がよい.
  • 震災対応について,幹事会が行うのか,特別委員会を作るのかと言った議論が必要となる.幹事会のみでは難しいので,次の理事会では震災対応の委員会を作らないとならないのではないか.調査にしろ何にしろ,何らかの行動を起こす時期に来ているのではないか.
  • 応用生態工学に関係する情報収集から初めてはどうか.先ずは,復興会議等のメンバーと関わりのある人たちに情報を集めてもらい,そこを出発点として応用生態工学会としての対応を考えていくこととする.

3.2 第49回 幹事会

日 時:2011年9月17日(土) 9:00〜9:40

場 所:石川県立音楽堂邦楽ホール 和室

出 席:藤田幹事長,西副幹事長,浅見幹事,河口幹事,坂之井幹事,関島幹事,高橋幹事, 武藤幹事           事務局:高橋事務局長

3.2.1 第57回理事会報告

第57回理事会での報告・審議内容の説明が行われました。また、金沢大会中に開催された各委員会の審議内容が報告されました。報告内容については,3.1.1 前回までの理事会(〜第57回理事会)の概要,3.1.2 委員会報告をご覧ください.

3.2.2 第49回幹事会 審議事項

(1) 中期計画の見直し

中期計画の見直しに関する審議は,要点を絞った上で,今後,メール会議により継続審議を行うこととなった.第48回幹事会におけるこれまでの審議経過は,以下の通りである.

<第48回幹事会審議結果>

  • 中期計画をもう一度見直した上で,中期計画の予算をどの様に使うかを幹事会で議論する.
  • 具体的に何をどうするかのアイデアとその重要性,今年度予算を来年度へ回す場合の制度化とそれを行うための方針等を中期計画ありきの議論として行う.
  • 具体的な方向性について幹事会としての意見を出し,今後,理事会に諮る.

(2) 事例集,講習会テキスト等の刊行に向けて

第48回幹事会では,第46回幹事会で議論されたテキスト等の刊行について,「応用生態工学に関するテキスト作成についての会員向けアンケート」結果を元に審議が行われた.

第49回幹事会では,これらの経緯を踏まえ,継続して審議を行ったが具体策を提出するまでには至らなかった.審議内容は,以下の通りである.今後,メール会議により継続審議を行うこととなった.

  • 応用生態工学の現状と,将来どの様に発展していくのかという議論の上でおおまかなフレームワークを作り,とりあえずそれに沿ったテキスト作りと言うことでなければ,総花的なテキスト作成となってしまう可能性がある.
  • テキスト作成のフレームワークの議論は幹事会が中心となり,テキスト刊行委員会と密接な連携を持つ必要がある.そうでなければ,テキストの意義と内容が乖離していく可能性がある.
  • テキスト刊行委員会には,幹事会からも何人かが参加して行くというイメージがある.
  • テキスト刊行委員会を立ち上げる際には,応用生態工学の枠を広げるような戦略的な考え方があっても良い.応用生態工学に不足している分野の方に参加してもらい(例えば海域のような部分),将来的に学会の枠が広がるような戦略があっても良い.

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4.1 EMECS9参加報告

京都大学大学院工学研究科附属 流域圏総合環境質研究センター
大谷 壮介

(1) はじめに

応用生態工学会の2011年度海外学会派遣の助成を受け,2011年8月28日から31日にアメリカ合衆国メリーランド州ボルチモアで開催された世界閉鎖性海域環境保全会議Environmental Management for Enclosed Coastal Seas: EMECS9に参加させて頂きました.本稿にてその報告致します.

(2) 会議の内容

本会議は,閉鎖性海域の環境保全と適正利用を目指し,研究者だけでなく市民,行政関係者,事業者等の幅広い分野の人を対象にしています.今回のEMECS9は,世界でも代表的な閉鎖性海域であるチェサピーク湾に面したメリーランド州ボルチモアにて,25カ国の約300人の参加者のもと開催されました.会議は“閉鎖性海域の統合的管理を実現するための,説明責任と効果的な情報共有環境の確保”というテーマで,チェサピーク湾における水質改善や環境修復での経験を背景に,生態面,経済面,文化面など様々な分野において沿岸域の管理能力の向上を図ることを目的としています.開催されたセッションは以下の通りです.

  • Underlying Science
  • Accountability
  • Sustainable Approaches
  • Finance and Funding
  • Multilateral Partnerships
  • Innovative Education and Communication

私は初日のUnderlying Science Sessionにて,“Relationships between food web structure of benthic community and origin of sedimentary organic matter in tidal flats of two river mouths in Shikoku Island, Japan”と題し,発表を行いました.本発表は2つの河口干潟において,炭素・窒素安定同位体比を用いて底生生物の食物連鎖の解析および堆積物の起源の推定を行い,底質環境の違いは底生生物群集の食物連鎖にほとんど対応していないことが示唆される結果を報告しました.質疑応答では,自分の考えを英語で正確に伝えることの難しさを感じました.

また,特別セッションとしてチェサピーク湾,アジア,ヨーロッパ,青少年環境教育交流,里海,APN(大都市沿岸域のリスク等をテーマ),沿岸ハザードパネルの7つのセッションが開催されました.その中の里海セッションでは,前回のEMECS8 で生産性と生物多様性を向上させる新しい概念と紹介されたSato-umiをさらに普及させるために,里海の重要性や沿岸域での役割が再度説明され,各地の閉鎖性水域における里海の概念を用いた事例や持続可能な発展に関する発表があり,ディスカッションが行われました.このことは,日本の里海の概念が世界中で使用され,徐々に普及してきていることを示していると思われます.

(3) 現地視察

チェサピーク湾の現状を知るために,メリーランド州の州都であるアナポリス市を中心に沿岸域の視察を行いました.まず,チェサピーク湾の環境保護を目的とするNPOチェサピーク湾財団(CBF)を訪ね,チェサピーク湾の環境修復に関する話を伺った後,紹介いただいた環境修復サイトを見学しました.実験サイトは,小規模で環境修復が現在進行形で行われているような様子は伺えませんでしたが,すでに周りの自然環境にとけ込んでいるように感じました.チェサピーク湾の規模を考えて,私自身もっと大きな実験サイトを期待していたのかもしれません.また,今回訪れることはできませんでしたが,その他にも多数の環境修復サイトもあり,チェサピーク湾の広大さを目の当たりにしました.

(4) 終わりに

今回の渡航は,100年に1度の確率で発生した大型のハリケーン:アイリーンと重なり,当初は3日間ダラスで足止めとなりそうでしたが,運良くチケットが手に入り,会場には発表の1時間前に到着するというギリギリでの到着となりました.また,アイリーンの影響により,プログラムの変更もあり,ランチを食べながら講演発表を聴き,朝から夕刻まで若干タイトな時間スケージュールでの会議の進行でした.さらに,帰国の際には台風12号の影響により,日本へ帰れるかどうかの心配もあったなかでの旅程となり,忘れられない国際会議となりました.次回のEMECS10は2013年にトルコで開催される予定です.末筆となりますが,海外派遣の助成を頂き,貴重な機会を与えてくださった応用生態工学会に厚くお礼を申し上げます.


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5.1 第10回 北陸現地ワークショップ in 新潟

『越後平野の生物多様性保全と再生への取り組み』

応用生態工学会 新潟
矢部昌之 (株)建設技術研究所

5.1.1 概要

新潟,富山,石川,福井の4県では,年に一回の持ち回りで,現地ワークショップを開催しています.応用生態工学会新潟では,平成23年10月28日(金)〜29日(土)の2日間にわたり,『越後平野の生物多様性保全と再生への取り組み〜自然のダイナミズムと流域の生態系を考える〜』をテーマとした標記ワークショップ(実行委員長:金沢学院大学玉井教授)を開催いたしましたので御紹介いたします.

28日(金):講演と総合討論(新潟県建設会館,参加者数137名)

29日(土):現地見学会(阿賀野川下流域他,参加者数43名)

開会挨拶する玉井実行委員長

ワークショップの状況

5.1.2 基調講演 『河川のダイナミズムと生態環境の保全』(埼玉大学大学院教授 浅枝隆氏)

河川内の植被率は,ダム等の建設による洪水流量の低下や冠水頻度の減少にともなって高くなると言われているが,窒素固定種の河川内への侵入による植生量増加の影響が大きいとの指摘がありました.また,洪水による撹乱後には,草本類の侵入や拡大する速度も速いことから,大量の微細土砂の補足,土壌の富栄養化,さらなる植生の繁茂の促進のサイクルを誘導しており,レキ河原を好む鳥類への影響や漁場への影響,そして植被率はここ30年間で北陸地域でもほぼ2倍となっているデータを紹介していただきました.


基調講演の浅枝教授

5.1.3 一般講演

(1) 環境用水による水田生態系の再生と保全 (亀田郷土地改良区 越山直子氏)

新潟市亀田郷西部地区では,新潟市が平成19年から信濃川で環境用水を取水しており,その効果である,排水路の環境保全,休耕田を利用した再生湿地の創出,農村地域のにぎわい創出に関する報告がありました.特に,再生湿地については,絶滅危惧種のミズアオイをはじめとした多様な湿性植物の出現や湿地を利用するバン等の生息確認の紹介がありました.

(2) トキの野生復帰に向けた川づくり 新潟県佐渡地域振興局 坂井 亨氏)

新潟県では,平成18年に『佐渡地域(国府川水系他)自然再生計画書』を作成し,トキが生息していたころの川づくりを,餌場確保,餌生物の生息環境,餌生物の移動環境確保の観点から実施している実例の報告がありました.報告の中で,トキの利用確認がまだされていないこと,モニタリングを通じて整備効果の検証を行い,事業を進めてゆくことが重要と説明がありました.

(3) カワウが河川生態系に果たす役割とその影響 (長岡技術科学大学助教 山本麻希氏)

カワウは1200羽以上が新潟県内で繁殖しており,信濃川中流部,阿賀野川では,アユやニシキゴイの食害が問題になっていること,カワウの問題はカワウが減少し個体数が回復する間に起こった河川環境と人間の問題であるとの報告がありました.また,被害を軽減するための対策には,生息地管理,被害防除,個体数管理のカワウ被害3本柱をそれぞれ取り組んでゆくことが重要との指摘があり,取り組み事例が紹介されました.

(4) トミヨの保全を目的とした荒川の『たんぽ再生事業』について (NPO法人五泉トゲソの会理事 樋口正仁氏)

荒川の下流域の礫河原には『たんぽ』と呼ばれる湧水ワンドが形成され,止水域で水温の変動が小さいことから,希少淡水魚であるトミヨが生息しており,河川生態系でも特異な生息環境となっていること,河畔林があることによって,出水時においても『たんぽ』が守られてきたこと,さらに平成22年10月には『荒川たんぽの保全・創出検討会』が組織され,たんぽの保全や創出について取り組んでいることの報告がありました.

(5) 信濃川における洪水撹乱体制と河岸植生の関係 (国立環境研究所特別研究員 石田真也氏)

冠水頻度や期間,物理的撹乱の規模等の洪水撹乱体制に対する植物種の依存の程度について,信濃川での膨大な調査データの分析結果をもとに,木本植物の出現を抑制するには冠水頻度を高めること,より多くの水湿性植物が出現するためには流路に近い場所が微地形に富んでいること,また,火入れには木本類の定着制御の他に,特有の水湿性植物が出現する利点がある等の報告がありました.

(6) 阿賀野川の河川環境の保全について (国土交通省阿賀野川河川事務所長 田部成幸氏)

阿賀野川では,河道内の樹林化に対し,伐採樹木,配慮する樹木,存置樹木の区分を設定し,伐開に伴う影響を軽減しつつ本来の自然環境の再生を図ることとしており,今年23年7月の福島・新潟豪雨での出水後の航空写真を紹介しながら,伐採後の洪水の流下状況について紹介するとともに,今後の自然再生の方向性について説明がありました.

5.1.4 総合討論

開催準備にあたり,新潟で取り上げるべき話題は何かを探ってきましたが,紙谷教授(新潟大学)から,『河川内の樹林について,市民と管理者との認識の相違が大きい.科学的なデータをもとにきちんと議論をしておく必要があるのではないか.』と問題提起があり,『河川内の樹林化を考える』を総合討論のテーマとしました.

  • (コーディネーター及びパネリスト) 
  •   紙谷智彦氏(新潟大学大学院教授)※コーディネーター
  •   浅枝 隆氏(埼玉大学大学院教授)
  •   山本麻希氏(長岡技術科学大学助教)
  •   田部成幸氏(国土交通省阿賀野川河川事務所長)
コーディネーター・パネリストの各氏

パネリストに対する質問に始まり,草本類の被覆,外来種対策,鳥類の営巣環境,魚類の生息環境,流下能力への影響や樹木存置の取り扱い,河床の固定化,湧水への影響,冠水頻度や撹乱区域の作り方,等,紙谷コーディネーターの巧みな進行により,パネリストだけでなく,話題に応じて会場からもさまざまな専門分野の方からの意見・コメントがあり,有意義な議論が展開されました.

会場からも活発な意見・コメント

地域で話題となっているテーマに絞ったことで活発な議論となったことは,次回開催時の参考になりました.

5.1.5 ポスターセッション

11題のポスター発表があり,活発な意見交換が行われました.

ポスター発表一覧
No タイトル 代表者 代表者所属
1 千曲川における外来種対策と河道内樹木管理技術の確立 大滝嘉孝 国土交通省北陸地方整備局千曲川河川事務所
2 カワウによる捕食被害軽減のための粗朶沈床を利用した魚の隠れ家の機能評価(予報) 藤田達也 長岡技術科学大学
3 立山カルデラにおける外来植物の侵入・分布拡大防止に向けた取り組みについて 柴田 閑 (株)建設技術研究所
4 新潟県農業農村整備事業における環境配慮の取り組みについて 佐藤太郎 新潟県農地部
5 トキの野生復帰に向けた川づくり 坂井亨 新潟県佐渡地域振興局
6 湿地化した休耕田に成立する植物群落の特異性 高野瀬洋一郎 (株)グリーンシグマ
7 越後平野の農業用水路網における植物分布−水湿性植物の出現と水路構造 松本さおり 新潟大学自然科学研究科
8 新幹線高架橋を利用するヒナコウモリ 藤塚治義 (株)エコロジーサイエンス
9 平成23年7月新潟・福島豪雨概要(阿賀野川河川事務所管内) 日野充人 国土交通省北陸地方整備局阿賀野川河川事務所
10 通年通水による田園の水循環再生と魅力づくり〜新潟市亀田郷西部地区環境用水〜 野上 悟 亀田郷土地改良区
11 "いのち"を育む農業 高橋義一 新潟県土地改良事業団体連合会

5.1.6 総括

玉井実行委員長から,『大出水になると河川は昔の姿を思い出す.潜在的にその土地や河川が持っているポテンシャルを理解しておく必要がある.今年の出水は自然のダイナミズムやその中での人の暮らし方や相反するさまざまなことをどう考えてゆくか,よい機会になるのではないか.』と総括がありました.

5.1.7 現地見学会

翌29日(土)9時新潟駅出発で,新潟以北の下越地方の以下の現地を43名で見学しました.最後の見学地では,湧水とそれに依存する生物の環境保全にかける佐藤代表の思いが印象的でした.


細長い独特の形状をした荒川のたんぽ

見学場所及び現地説明者
見学場所 現地説明者
阿賀野川の河道内樹林 阿賀野川河川事務所 田部所長
福島潟湿地 新潟県新発田地域振興局治水課 林課長,ビュー福島潟 小林博隆レンジャー
荒川のたんぼ再生 羽越河川国道事務所 大井副所長,片野係長
イバラトミヨ保護地
(胎内市中条)
イバラトミヨ・水芭蕉の会 代表 佐藤正氏

5.1.8 おわりに

準備開始から約1年,実行委員,幹事の方はもちろん,快く講演を引きうけていただいた講演者,ポスター発表者の方々,当日の支援スタッフや学生の方々等,学会員だけでなく,生態系の保全や応用生態工学への興味のある多数の方々の連携・協力をいただきました.この場を借りて御礼申し上げます.

今後は,このワークショップに参加された方々等との情報交換や連携の場をさらに充実することに努め,地域での活動を進めてゆきたいと考えています.


5.2 都田川フィールドシンポジウムの報告

〜流域の生物多様性と市民参加による保全活動〜

応用生態工学会 名古屋
中村達博 (株)建設環境研究所

応用生態工学会名古屋では,本年度の地域活動として,平成23年11月25日(金)〜26日(土)の2日間,静岡県浜松市の都田川流域においてフィールドシンポジウムを開催しました.今回のイベントは,富士常葉大学社会環境学部と共同主催とし,1日目は浜名湖を含む都田川のフィールドツアー,2日目にシンポジウムを行いました.

フィールドツアー参加者は41名(現場説明者を含めると46名),シンポジウム参加者は57名でした.

5.2.1 1日目:フィールドツアー

都田川流域(浜名湖を含む)を対象に現地ツアーを開催しました.今回のテーマに沿って,河川改修区間,希少種生息箇所,水田ビオトープなどを現場確認し,特に都田川の河川改修区間については,流路変更箇所の2現場について問題点や課題を確認しました.

(1) 都田川河川改修区間

都田川の蛇行部を治水のために流路変更が行われた箇所の環境復元状況などを確認しました.流路変更は,旧河道約2kmの蛇行部を新河道約1kmに短縮した区間です.この事業の経緯は以下のとおりです.

  • ・平成9 年度に「人と自然にやさしい都田づくり検討会(座長:常葉学園短大山田辰美助教授)」設立
  • ・平成10〜14 年度に消失する河畔林のヒメボタルを表土とともに移植
  • ・流路変更は平成13年度工事着手,16年2月に通水.
  • ・通水後に旧河道の残された魚類を市民参加により救出.
  • ・現時点での問題点は保全目標の「消失する河川環境(瀬・淵の構造)の復元」が達成されていない状況.

現場では,淵形成のために新川に設置された水制工や,一部残存することとなった河畔林及び旧河道を確認しました.

都田川河川改修現場にて説明をうかがう


井伊谷川河川改修現場にて説明をうかがう

(2) 井伊谷川河川改修区間

都田川支川の井伊谷川蛇行部の流路変更を現場確認しました.現場は,地形的狭窄部(イボ岩付近)の大きな蛇行を改修する箇所で,河道を出来る限り踏襲し旧河道も埋立てず,川の一部として残すように見直を行ったところです.

(3) 都田川流域の希少動物(@)

谷津周辺から湧水が流出する水田排水路において,希少種のヤリタナゴ及びマツカサガイが生息する現場を確認しました.これらの生息場所は非常に限られた範囲で,支川との連続性が確保できない現状や,改修の求められている状況を確認しました.
 一方,富士常葉大学山田教授の呼びかけで農家や市民の手によって創出した水田ビオトープを視察しました.ここでは,三方原台地からのしぼり水(湧水)を利用して,マツカサガイとヤリタナゴの移植を行っていました.

 

水田排水路でヤリタナゴ・マツカサガイを確認する

(4) 昼食

田園空間博物館にて浜名湖産のうなぎ弁当をいただきました.ここでは水田環境鑑定や特別栽培米(浜名湖うなぎ米プロジェクト)の話題をお聞きしました.

(5) 都田川流域の希少動物(A)

東北地方以南に分布するヒヌマイトトンボについて,静岡県内での生息が唯一確認されている現場を確認しました.桶ケ谷沼ビジターセンター(磐田市)の福井さんのご説明により,ヒヌマイトトンボの発見過程や生息環境の特性,さらに生息基盤のヨシ原が乾燥化し,生息環境が悪化している問題点などを伺いました.

(6) 浜名水産技術研究所浜名湖分場

浜名湖体験学習施設ウォットの見学及び,静岡県水産技術研究所浜名湖分場の施設見学を行いました.ここでは,ハウス加温棟など研究施設において行われているウナギの魚病や養殖研究の見学を行いました.

浜名湖養魚漁協直営店のうなぎ弁当


ヒヌマイトトンボ生息地を観察する


5.2.2 2日目:シンポジウム

都田川シンポジウムを,浜松市地域情報センターホールにおいて開催しました.
 開催にあたっては,山田辰美教授より,本フィールドシンポジウムの主旨説明がなされました.
 続いて行われた4つの講演は,都田川及び浜名湖を軸に,流域の特性と生物多様性,都田川の河川改修に伴う環境保全,流域管理と市民参加といった観点により構成されたものでした.

講演-1 「浜名湖の環境と生物」 後藤裕康(静岡県環境衛生科学研究所)

浜名湖の歴史と特徴では,夏季における湖北(湖奥)部の貧酸素水塊の発達,湖口からの海水の流入に特徴があること,浜名湖の生物としては,魚類が約460 種,甲殻類が約150 種確認されていること,漁獲量変動からみた近年の浜名湖の環境変化としては,魚種を含む湖内生態系の変化は,全体としては汽水湖から海水湖(内湾)への環境変化が進行している状況などが報告されました.

講演の様子(後藤裕康氏)  

講演-2 「流路変更と多自然川づくり」 長縄知行(静岡県交通基盤部河川砂防局河川企画課)

都田川の改修前の洪水被害,流路変更を伴う河川改修事業の経緯,改修にあたっての,「人と自然にやさしい都田づくり検討会」の開催などの説明をいただきました.
 なお,河川改修後,保全目標として設定した瀬と淵を含む河川環境の代替は達成されていないという課題があり,今後の施策としての方向性について報告されました.

講演-3 「イシガメの繁栄を支える河川の構造」 山田辰美(富士常葉大学社会環境学部)

都田川の蛇行部流路変更(瀬替え)と流域の土地改良事業が進められる中で,多くの自然性を失いました.
 (1)大きな河畔林の存在
 (2)自然の河川が作り出す中流域の河川構造,特にめりはりのある瀬淵の重要性に着目し,豊かな生態系を取り戻し保全するために,生物の依存する環境要素(特定の構造)の保全措置が求められます.ここではイシガメを中心に希少種保全のため,生活史の各ステージで要求される河川の構造についてご紹介をいただきました.

講演の様子(山田辰美教授)

講演-4 「市民参加による生物多様性保全のための環境再生」 関川文俊(富士常葉大学附属環境防災研究所)

都田川の河川改修においては,一般者も傍聴可能な「人と自然にやさしい都田づくり検討会」が設立され,河川改修・ほ場整備・公園整備について工事工程の調整や環境対策等について検討された経緯が報告されました.また,旧河道に取り残された魚類及びカメ類の引越し作戦が,地元中学校や漁協,建設業者の機器提供などにより実施されたことが報告されました.このほか,ヒメボタルの保全のため河畔林の表土移植作業が地元住民や県立農業高校との連携で実施された紹介もありました.

総合討論

今回のフィールドシンポジウムの総括として,応用生態工学的に見た総合討論が行われました.コーディネーターは辻本哲郎教授(名古屋大学大学院),パネラーは,萱場祐一上席研究員(独立行政法人土木研究所自然共生研究センター),山田辰美教授(富士常葉大学),後藤裕康氏(静岡県環境衛生科学研究所),長縄知行氏(静岡県交通基盤部河川企画課)という構成でした.

総合討論の様子 

 都田川流域では,地域的に環境保全のための協働体制が構築されており,それが強みとなっているとのコメントがありました.一方では,都田川河川改修事業では,実施前の計画段階で充分な予測を踏まえておく必要があったことなどの議論がなされました.総合討論は,今後の川づくり,流域のあり方や地域連携といった視点で,活発な議論が行われ,また,会場からもパネラーに質問が寄せられ,大変有意義な総合討論となりました.

<謝辞>

今回のフィールドシンポジウム開催にあたり,富士常葉大学社会環境学部,富士常葉大学附属環境防災研究所の皆様,名古屋大学辻本研究室の皆様,このほか,フィールドツアーの現場説明及び資料のご準備を頂いた静岡県交通基盤部河川企画課,静岡県浜松土木事務所,静岡県西部農林事務所,浜松市北部農林事務所の皆様,さらに,シンポジウム運営にご協力いただきました応用生態工学会名古屋の会員の皆様に厚く御礼申し上げます.


5.3 ザリガニシンポジウム  ― ザリガニ研究会分科会主催 ―

応用生態工学会 札幌
山田 浩行 パシフィックコンサルタンツ株式会社

2011年10月24日(金)(13:30〜16:00・札幌市民ホール第1会議室)に開催されたザリガニシンポジウムについてご紹介します.応用生態工学会札幌分科会 ザリガニ研究会が主催し,北海道開発局やコンサルタント各社から52名が集まりました.
 日本には,在来種の二ホンザリガニ,外来種のウチダザリガニとアメリカザリガニの3種類が分布しています.二ホンザリガニは各行政機関により希少な種として位置づけられ,保全が必要となっています.一方,ウチダザリガニは環境省により特定外来生物に指定され,同じくアメリカザリガニは要注意外来生物で,防除等の対応が必要です.日本では,今後どのような形で,どのような方向でザリガニ類とつきあうのか?これを生態工学の視点で議論しました.
 シンポジウムでは,オーストラリアから世界最大の淡水甲殻類「タスマニアオオザリガニ」の保全対策に詳しいトッド氏を招き,ザリガニ保全対策の情報交換を実施しました.

トッド氏による海外講演の様子

同時通訳で講演を進めました

ザリガニ研究会の趣旨及び経緯と共に,WEC研究活動について山田(パシフィックコンサルタンツ株式会社)からご報告させていただきました.
 国内におけるザリガニ保全事例等の最新の知見についての話題提供として,石川氏(株式会社長大)より水温の変化がニホンザリガニの生息に与える影響についてご紹介いただきました.また,飯村氏(栽培漁業公社)からは,ダム湖の湛水とザリガニの生息環境について,ラジオテレメトリーシステムを用いて越冬前の行動特性を検討した結果をご紹介いただきました.
 今後の対策についての話題提供としては,井上氏(株式会社建設技術研究所)より食用としての対策について,田中氏(北海道大学大学院)より教育としての対策についてご紹介いただきました. これらのご講演を基に,今後のザリガニ類の保全・対策について活発な議論が行われました.そして,総括として日本のザリガニ研究の第一人者である稚内試験場の川井氏からご講評をいただきました.

講演の様子

聴講の様子

北海道は3種類のザリガニ類が,すべて分布するので,ザリガニ類の保全にとっては「ホットスポット」です.応用生体工学会札幌分科会 ザリガニ研究会は,今後の活動が一層活発になることを狙い,継続して最新の知見の普及,意見や情報の交換を行う予定です.会員の皆様にもご協力をお願いすることもあるかと思います.よろしくお願いをして,締めさせて頂きます.


6 学会ホームページに対するアンケートのお願い ページトップへ
情報サービス委員会
委員長 萱場祐一

本学会情報サービス委員会では,より充実した情報提供を行うため,会員の皆様からHPに対する意見を伺い,HPの改善を図って行きたいと考えています.
 つきましては,当学会のHPをご覧頂き,以下のアンケートにご記入の上,事務局に送信下さい.

・学会ホームページURL  : http://www.ecesj.com

・アンケートフォームURL(新しいウィンドで開きます) : http://ecesj.com/FS-APL/FS-Form/form.cgi?Code=HPquestionnaire

・アンケート 回答期間   : 平成23年12月5日〜平成24年1月31日


なお,アンケート結果は年度内に取りまとめニュースレターで報告するとともに,平成24年度以降の改善に反映させる計画です.


7 事務局より ページトップへ

7.1 今後の予定

12月7日 ニュースレター54号発行(電子配信)
12月会誌Vol.14-2 発刊
1月第51回幹事会
2月第60回理事会
2月ニュースレター55号発行(電子配信)
2月海外学会派遣募集
3月31日2011年度 終了
4月1日2012年度 開始
9月8日(土)
〜11日(火)
第2回三学会合同全国大会(ELR2012 東京)
 期 間:2012年 9月8日(土),9日(日),10日(月),11日(火)
 場 所:東京農業大学( 東京都世田谷区桜丘)

7.2 メールアドレス登録のお願い

本ニュースレターは,学会ホームページにアップロードしたPDF ファイルのURL を,登録頂いたメールアドレスに送信していくこととなっております.

まだ,メールアドレスをご連絡頂いていない会員の方には,メールアドレスの登録をお願いいたします.経費削減対策の一つとなっておりますので,できるだけ電子配信にご協力下さい.

また,せっかく会費をお支払い頂いておりながら,アドレスエラーや転居先不明でニュースレターや学会誌が戻ってくるケースが数十件あります.転居等されましたら,新しいご連絡先をお教え下さい.

メールアドレスを登録する場合は,下記の学会ホームページからお知らせ下さい.

● 会員登録情報変更連絡フォーム
http://www.ecesj.com/FS-APL/FS-Form/form.cgi?Code=change



[2011年12月1日現在会員数]
名誉会員: 4名
特別会員: 2名
正会員 : 1,167名
学生会員: 105名   合計1,278名
賛助会員:  29法人(43口)

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