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応用生態工学会ニュースレター No.12

Ecology and Civil Engineering Society(ECES)


2000年11月30日 (木) 発行
〔発行所〕応用生態工学研究会事務局 :
〒102-0083 東京都千代田区麹町4-5 第七麹町ビル 226号室
TEL. 03-5216-8401 FAX. 03-5216-8520
〔発行者〕応用生態工学研究会 (編集責任者: 幹事長 :谷田一三, 事務局代表 熊野可文)

7. いろいろなニュース

(1) 学会・シンポジウム開催案内

第3回東京湾海洋環境シンポジウム

実行委員 渡辺 晋(新日本気象海洋株式会社)

東京湾の望ましい姿と、それを達成・維持するための方策を提案していくためのシンポジウムです。 このシンポジウム実行委員会から2000年4月に、応用生態工学研究会に対し共催依頼があり、研究会で検討した結果、 共催に応じることになり、私と國井秀伸理事(島根大学)の2名が応用生態工学研究会からの派遣委員として実行委員会に加わっています。

当会の小倉紀雄理事(東京農工大学)が実行委員長をつとめています。

この実行委員会の特徴は、学会連合を作って総合的に検討していく体制をとっていることであり、 現在18の学会・団体からの派遣委員によって実行委員会が組織されています。

第1回の成果は海洋と生物19巻2号、第2回の成果は月刊海洋31巻8号に発表されており、 この第3回の成果についてもいずれ発表する予定ですが、具体的にどこに発表するかはまだ決定しておりません。 また、一部未決定の部分があり、話題提供者等については、実際と一部異なることになるかもしれませんが、 その場合はご容赦下さい。興味のある方は以下の案内を御覧いただき、自由に参加して下さい。

第3回東京湾海洋環境シンポジウム[沿岸埋立と市民生活]

  • 日時: 2000年12月8日(金)13:00- 18:00
  • 会場: 船の科学館内オーロラホール(ユリカモメで船の科学館駅下車)(東京)
  • 参加費:無料
  • 要旨集: 500 円
  • 懇親会費: 3,000 円
  • 主催: 東京湾海洋環境シンポジウム実行委員会
  • 開催主旨: 東京湾の埋立は江戸時代から行われてきたが、 急激に進行したのは日本経済の高度成長期である。 埋立地は昔からゴミの最終処分場の役割を担うな ど、市民生活と密着している。現在の埋立は地先 をさらに埋め立てて進み、既に都市構造の一部と 化している。その一方で、東京湾内湾の人工海岸 率は95%にもなり、環境保全上の危惧が高まっている。 本シンポジウムでは埋立がどの様にして行われ てきたのか、その経済効果や環境に及ぼした影響 を総覧した後、既存の埋立地の賢い活用法はどう いうものか、今後も埋立を続けるのか等を考え、 市民生活と共に歩んできた東京湾の沿岸埋立の将来像を模索する。
  • プログラム: 司会 前田 勝(東京水産大学)
    • 13:00
      開会の挨拶 実行委員会委員長 小倉紀雄(東京農工大学)
    • 13:05
      「東京湾の変貌と湾岸流域の自然環境と人間との関わり」 中村俊彦(千葉県立博物館)
    • 13:35
      「埋立と臨海部の利用」小笹博昭(財団法人港湾空間高度化センター)
    • 14:05
      「埋立と都市気候」近藤裕昭(通産省資源環境技術総合研究所)
    • 14:35
      「埋立による海域環境の変化」石川公敏(通産省資源環境技術総合研究所)
    • 15:05
      休憩
    • 15:15
      パネル討論「沿岸埋立と市民生活」
      座長:小倉紀雄
      パネラー:講演者全員
      話題提供:
      「公園造りを含む住民と東京湾の接点としての埋立地の活用」樋渡達也(東京農業大学)
      「東京湾環境保全における法的問題点、 特に埋立地の排他的利用について」関 智文 (東京弁護士会)熊本一規(明治学院大学)(交渉中)
    • 17:50
      閉会の挨拶 実行委員会事務局長 前田 勝(東京水産大学)
    • 18:00
      懇親会 船の科学館内「レストラン海王」
  • 共催学会・団体:
    日本環境学会、日本地球化学会、日本陸水学会、 日本海洋学会、日本生態学会、日本気象学会、 水環境学会、土木学会、日本海洋学会沿岸海洋研究部会、 日本魚類学会、日本ベントス学会、日本プランクトン学会、 日本付着生物学会、水産海洋学会、日本水産学会、 東京湾学会、応用生態工学研究会、日本水産工学会
  • 後援:
    (社)日本環境アセスメント協会、(以下交渉中) 日本海事科学振興財団船の科学館、環境庁、東京湾関係自治体 (政令指定都市以上)
  • 賛助団体:(交渉中)
  • 問い合わせ先: 第3回東京湾海洋環境シンポジウム実行委員会
    〒108- 8477 東京都港区港南4- 5- 7
    東京水産大学海洋環境学科 前田 勝
    E-mail: masamae@tokyo-u-fish.ac.jp
    Tel: 03- 5463- 0455 Fax.03- 5463- 0448

(2) 新著紹介

「国際動物命名規約第4版日本語版」

日本学術会議動物科学研究連絡委員会(監修)、野田泰一・西川輝昭(編)、日本動物分類学関連学会連合、本体3,000 円(消費税不要、送料込):

2000年1月から発効した国際動物命名規約第4版の公式日本語版である。公式日本語版がこのように早く完成したことに、 翻訳、編集者の努力に対して敬意を表する。分類研究者には重要な改訂や勧告がなされているが、 この書評ではそれには立ち入らないことにする。一般の方々に興味のある改正点としては、公表の範囲がCD-ROM など紙に 印刷されないものにも拡大された。しかし、それには5箇所以上の主要な公開図書館での複本の保存などの制限が明記されている。 ホームページなどによるものは、公表とは見なされないことは、従前通りである。 従来は印刷公表の点で、やや混乱を招いていた研究集会(学会やシンポジウムなど)の要旨などの印刷物は、 公表と見なされないことが明記された。全体的にはかなり大きな改訂がされたので、詳細は本書を見て頂きたい。 特筆すべきは、日本語が従来の翻訳や解説に比べて、著しく判りやすくなったことである。 例えば、従来使われていた「模式」という表現は、すべてタイプという述語に変更された。 それ以外にも、日本語の表現には大幅な改善が見られる。かなり難解な原文を、翻訳、編集された方々の努力に敬意を表する。 なお、本書は書店での販売は行っていないので、購入希望者は担当者(国立科学博物館動物研究部、友国雅章さん)に 直接依頼することになる。[谷田一三]

「増補 応用生態工学序説−生態学と土木工学の融合を目指して−」

廣瀬利雄(監修)、応用生態工学序説編集委員会(編)、信山社サイテック、本体3,800円:

本増補版については、すでにニュースレター6号で紹介した。この9月に増刷されたが大幅改定は見送られた。 ただし、基礎編の最後に「応用生態工学の新たな視点」として、管理、とくに順応的管理(adaptive management )の節が、約3ページ追加された。それ以外は、誤植の修正程度の改訂しかされていないが、 このページは、今後の応用生態工学の進む方向を示す、重要な視座になるかもしれない。[谷田一三]

「水辺遊びの生態学」

嘉田由紀子・遊磨正秀著、農山漁村文化協会、人間選書231 、本体 1,714円(税込1,800 円):

本書は、アフリカ大地溝帯の湖であるマラウイ湖での子供達の「魚つかみ」の風景から始まる。著者(恐らく遊磨さん)は、 その姿に数十年前の日本の湖畔や川辺での、子供達の姿を見る。「水辺で遊ぶ子供は絶滅危惧種」、まさに同感である。 その危機感が、琵琶湖岸の人々、子供、親、祖父母の、3世代のアンケートにいたる。魚の名前(通称)の時代的変遷など、 アンケートの解析もおもしろいが、親、祖父母世代の「魚つかみ」の、絵入り実録がじつに興味深く楽しい。 身の周りの材料を工夫して(ときには親に叱られながら)の「魚つかみ」の道具作り、期待と不安の混じった大物への挑戦と、 語り部の肉声が伝わってくる。かぎ針をつけた「ひっかけ」を使っての大物ビワマスへの挑戦と成功は、50年以上の年月を経ても、 非常に鮮明な記憶として残り、語られている。「ヒヤケ」と呼ばれる川干し(瀬干し)は、またとない大漁を保証してくれる。 授業を逃げて親や教師に叱られることに、十分に値する。海に比べれば、川や湖畔での魚つかみは、 子供にとってもずっと安全だろう。ひっかけ、瀬干し、瓶付け(モンドリ)、これはいずれも違反漁法である。 しかし、かっては子供にとっては、当然の遊びであった。放流と遊漁という、自然の摂理を十分に生かしていない、 内水面行政、漁業が、子供の水辺遊びを奪ってしまったのではないか。 今の湖畔や川辺には、ルアー竿を握ってオオクチバスを狙う子供はいるが、日本の在来種である川餓鬼は見られない。 小学生以下の子供からは、入漁料を徴収しない組合もあるが、それをもう一歩進めて、子供には様々な手段の「魚つかみ」を 楽しませて欲しいと思うのは、やはり無理な希望であろうか。 もちろん、川などを仕切ったイベントの偽物の「魚つかみ」ではない。[谷田一三]

「川のHの条件−陸水生態学からの提言」

森下郁子、森下雅子、森下依理子著、山海堂、本体2,000 円:

「Hとは生息環境です」と、巻頭にも裏表紙にも註があるが、なかなかに刺激的なタイトルではある。 中身はまじめな普及書で、このタイトルを選んだ著者と出版社の意図は理解できない。 本書の基本は、生息環境10の条件の3段階評価と、魚類相の評価から、水質だけではない全体としての河川環境の評価を しようとする試みである。統合的な指標での評価は、諸外国でも実施されており、本書の意図も悪くはなく有効な試みである。 10の条件は、上下流の連続性、周辺水域との連続性、冠水頻度と伏流水(これが1項目とされている理由は判らない)、 河床や流速の多様性、水生植物、水辺林、水面の被覆度(水面への直接日照時間)、撹乱頻度で、大部分の条件には異論はない。 しかし、これらの条件のなかで、水辺林や水面被覆度などは、上流から下流で、必然的に(自然度の高い河川でも) 変化するものであり、河川流程のどの位置の評価かを加味しないと、環境評価にバイアスがかかり、 下流部のスコアは悪くなると思われる。 本書の後半には、実際の資料からHスコアと魚スコアが示されている。両者の相関は、0.69 程度と統計的に有意である。 これは、各魚種の持ち点(スコア)がHスコアから求められているので、当然といえば当然ではある。 各サイトを、大きく上流と中・下流にわけると、Hスコア、魚スコアともに、上流の平均値(34-37)が明らかに大きい。 これは、日本の中下流部が破壊されていることを示すものかもしれないが、先にのべたHの条件の選定にも問題があるかもしれない。 巻末には初出文献一覧があげてあるが、本文や資料との対応関係が読者には判らないのはつらい。 問題点をあげすぎた嫌いがあるが、河川関係者では、研究者から実務者、それに釣り人、漁業者にも必読の図書である。

「日本のシジミ漁業−その現状と問題点」

中村幹雄編著、たたら書房、本体4,381 円(税込 4,600 円):

本書の編著者である中村さんは、北海道大学水産学部の出身、長く島根県内水面水産試験場でヤマトシジミの研究と 資源保全に従事され、「宍道湖におけるヤマトシジミと環境との相互関係に関する生理生態学的研究」で水産学博士学位を 取得されたと聞く。シジミの生態と環境の研究にとどまらず、漁業としての問題点もよくまとめられている図書。 第1章はヤマトシジミの生態的特性で、底質のヘドロ化(細粒化)、貧酸素水塊、塩分濃度の上昇が、 生息を危機に陥らせる主因と指摘し、ここでは汽水域が微妙なバランスでヤマトシジミを育んでいることがよく判る。 第2章はシジミ漁業の特性で、乱獲や輸入シジミの増大の問題とともに、シジミの持つ水質浄化機能についても触れてある。 第3章はシジミ漁業の概要で、全国のシジミ漁業者へのアンケート、担当者の執筆をもとに構成されている。 琵琶湖のセタシジミ、宍道湖のヤマトシジミしか馴染みのなかった評者には、これほど多くの漁場があることは予想外であった。 また、漁獲方法の多様さも意外であった。多くの漁場では、乱獲だけでなく、富栄養化、河口堰などの開発で、 個体群の減少を招いているのが近年の現状。予想されたこととはいえ、食文化としても寂しい。 第4章では、それらの問題と対策が、編著者の観点から述べられている。「シジミ漁業ほど素晴らしい漁業を他に知りません。 生産のためため種代、肥料代や薬品代も不要であり、すぐ近くの漁場で小舟とジョレン1つで漁獲ができるという 他の産業にはない大きな魅力があります」と、著者はシジミとシジミ漁業に愛着をこめて語る。 シジミ、とくに汽水のヤマトシジミ魅せられた著者の手作りの図書である。 生態や水質浄化機能など、もっと深く語って欲しいという気持ちは残るが、汽水域だけではなく、河川、湖沼の研究・技術者にも、 一読をお勧めしたい。[谷田一三]

「ウミウシ学−海の宝石、その謎を探る」

平野義明著、東海大学出版会、本体2,500 円:

ウミウシはウミウシ亜綱(後鰓類)の軟体動物。陸のナメクジ(マイマイ亜綱(有肺類))の評判は悪いが、 ウミウシは宝石と讃えられ女性のダイバーにも人気の動物。学(属)名のクリオネのほうが名高いハダカカメガイは、 テレビコマーシャルにも出演する人気者である。世人は色に迷わされているが、ウミウシの本性はそれほど知られていないようだ。 本書は色彩の後に隠された、ウミウシの本性の暴露本でもある。形態と発生の部分は、生物学として丁寧に書かれてはいるが、 なにせ用語が難解で、世人には読みづらいと同情する。それ以外は、一気に読める。 親戚筋の巻貝や二枚貝は、人間にとって貴重な食物だが、ウミウシはほとんど食えない。 ただ、色は劣るがアメフラシ類を食用にするところは国内外にあるという。貝殻を失ったために、生体防御物質を進化させたのが、 食えない原因。毒のある刺細胞を持つ生物を食べて、それを防衛に利用するというえげつないウミウシもいる。 ウミウシの多数は肉食で、同類を食うものさえいる。ベジタリアンのアメフラシも、養殖ワカメを食い荒らす悪さをすることがある。 ほとんどのウミウシ類は雌雄同体だが、他の個体と交接(交尾)をして遺伝子を交換する。 しかし、乱交パーティーも好きで、3個体以上が団子状態で交接することもあるという。 卵塊は産みっぱなしで子育てはまったくしない。卵からはベリジャー幼生という貝殻を持つ子供が生まれてくる。 なかには、卵塊のなかにとどまりウミウシ型まで変態してから外に出てくるものもいる。 浮遊生活をするベリジャー幼生で生まれてくる種類は、いっぱんに多産である。 ウミウシの出自(進化系統)はいかがであるか?本書では最後にどんでん返しがある。 近年の分岐分類学や分子系統学は、ウミウシ類(亜綱)という分類単位を否定しそうだという。 この考え方の適否とその詳細は、本を手にとって判断して頂きたい。海洋生物の門外漢にもお勧めの本である。[谷田一三]

「原色川虫図鑑」

谷田一三監修、丸山博紀・高井幹夫著、全国農村協会:

水生昆虫(通称・川虫)は、河川生態の研究者や釣り人らにとっては身近な存在ではあるが、 近頃は環境指標や学生実習の手頃な材料などとして一般にも名前が浸透しつつある。 水生昆虫の検索表は、古くは津田松苗による『水生昆虫学』、最近では川合禎次らによる『日本産水生昆虫検索図説』などが 出版されたが、分類の進歩による学名や和名の変更という問題は常につきまとっていたし、 専門的な単語や白黒の断片的な図による検索は、しばらく経験を積まないと困難な作業であった。 先頃出版された『原色川虫図鑑』は、そういった問題をいくらか解消してくれるだろう。

『原色川虫図鑑』では、主にカゲロウ目、トビケラ目、カワゲラ目が大きく扱われている。 この本の売りは、なんと言っても豊富なカラー写真である。カラー写真を採用することで、 図や文章だけでは分かりにくかった体色のパターンを知ることができるようになった。 種の分類では、突起等の形状や毛の生え方といった形質が体色よりも有効なことが多いが、 これは体色には種内変異を考慮する必要があるからだ。しかし体色パターンも重要な情報であることは間違いなく、 この本では、カラー写真によって体色の情報はある程度押さえられるだろう。 比較的普通に見られる種のうち、オオマダラカゲロウやアカマダラカゲロウ等では、 体色の種内変異があることが一目で分かるようになっている。 私にとっても,初めて本の中身を見た時,写真の美しさは大きなインパクトであった。 日本においては新しいタイプの検索表と言えるであろう。

水生昆虫の同定は、科レベルであっても最初は分からないものである。 この本では、トビケラ目とカワゲラ目の科への検索表は説明の横に図が挿入されており、検索に大いに助けになっている。 これまでは、検索に必要な図が別のページに載っているために、科ないし属、種へたどりつくまでに何度もページを めくることが少なくなかった。 時に何ページもめくらないといけないこともあり、大変な面倒であったが、そういった手間を省く工夫と言える。 属への検索表は、簡潔にまとめられており、使いやすい。普通に見られる種の検索は、写真との絵合わせで事足りるであろう。 各種の説明については分類に必要な形質を適格に図示しているし、生態に関する記述も生活史や分布域など、 興味深い内容が簡潔にまとめられた種が多い。 各章冒頭の各目の昆虫に関する記述は、進化から形態的特徴、生態など多岐に渡って詳しく、 初心者がその虫は一体どのようなものなのかと疑問を抱いた時には活用すべきである。 短かめのコラムがいくつか検索表や図表の合間に挿入されているが、こちらも専門的な内容について割と詳しく述べられている。 文末には食料や農業害虫という視点から水生昆虫をまとめてある。これらは、検索表としてではなく、 読みものとしても利用される工夫であると言えよう。専門書としても、学生・社会人向けの一般書としても、 活用に充分に値する好書である。更に大きな検索表が次にまとめられるまでは、広く愛用されるだろう。

惜しいのは、大きく扱ったのがカゲロウ目、トビケラ目、カワゲラ目に限られることである。 この本で他に扱われたのは、ハエ目、トンボ目、コウチュウ目、アミメカゲロウ目、カメムシ目、ハチ目で、 ハエ目は河川で優占することがあり、特にユスリカ類(ハエ目)は、底生動物のサンプル中では種数、 個体数ともに他を大きく卓越することがほとんどであるのに、コラムで短く触れられただけであった。 トンボ目、コウチュウ目、アミメカゲロウ目、カメムシ目、ハチ目についても説明は詳しいが、 せめてトンボ目、コウチュウ目については、割と目立つ存在であるので、紹介される種数がもっと多くてもよかったように感じる。 分類の進捗状況やページ数など様々な理由はあるが、区別点のはっきりしたものについてはせめて写真だけでも増やすとか、 これらの属を扱った同様な検索図鑑が早く誕生することを望む。 また、カラー写真は便利ではあるが、既に書いた通り水生昆虫に体色の種内変異があることは忘れてはならない。 自分が実際に目で見た情報を加えていくことによって、より使い勝手のいい本になっていくことであろう。

応用生態工学でも、川や湖において水生昆虫を扱わねばならないケースが今後多く出てくるだろう。 応用生態工学に関わる人たちにも、一度目を通していただきたいと思う。[藤谷俊仁]



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