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応用生態工学会ニュースレター No.12Ecology and Civil Engineering Society(ECES)
竹生島見学早朝から雨が降り天気が心配されたが、長浜港に集合するころには、晴れ間が広がった。 参加者は47 名は9 時50 分長浜港発の定期観光船に乗り約25分で竹生島に到着した。 竹生島は琵琶湖の北に位置し、周囲約2km 、 0.14km2、標高120mである。 琵琶湖の4つある島の中では、沖の島に次ぐ大きな島である。竹生島港は島の南東部にあり、 北部は切り立った岩壁に囲まれ、断崖である。 一般客が下船したあと、研究会のメンバーはそのまま船に残り、竹生島を一周した。 緑に囲まれた南東部から島の北東部にまわると枯れ木が多くなり島の様子は一変した。 枯れ木の上に葉のように見えた黒の塊はすべてカワウであった。カー先生によると枯れた樹木は3つのブロックに分けられる。 木が枯れている北東のブロック、古い木の葉が再生している北のブロック、枯れ木につるが巻き一見しては 枯れているようには見えない北西のブロックである。竹生島のカワウは朝に島を離れ、群れで琵琶湖周辺を飛翔し、 夕方に島に戻ってくる。したがって見学した時期には、それほど多くの居残り組はなかったが島の周辺には50尾以上は旋回していた。 竹生島は日中には観光客が訪れにぎやかであるが、夕方には全く無人になる。竹生島はカワウにとって天敵のいない楽園である。 このおびただしいカワウの糞で、島の樹木が枯れてしまったのである。 戦時中にカワウの卵を食糧にしていた時期には一時期カワウの数は減ったものの、ピーク時には3万尾にもなった。 現在では樹木を保護するため卵や巣を県で排除しており、一番多かった1993 年ごろの10 分の1ぐらいになっている。 橘川先生、カー先生が「この瀕死の森の状態は、木だけでなく、土壌も水質にも深刻な影響があらわれているのでは」とたずねられ、 生物調査で琵琶湖と30年定期的に付き合っている森下郁子氏が、鳥の糞が木を枯れさせ、土壌を汚染し、 汚染された土壌の流出でプランクトンが変化し鳥の影響がもっと早く現れるのではないかと予測し注意深く観察していたが、 プランクトンに変化の兆しがあったのは1994年の渇水のころからであり、木が枯れはじめてから20年もたった後であること、 周囲の石礫や岩に付く付着生物が変化してきたのはここ2 、3年のことだと説明した。 土木研究所の島谷さんは「竹生島の話は聞いていたが、実際にみて、実感できたことはとても価値があった。」と感想を述べられた。 竹生島に上陸した後は、記念撮影、宝厳寺、都久夫須麻神社の拝観や島の散策等を楽しみ、持参したお弁当で昼食をとり、 12時45分の定期観光船で長浜港に帰港した。 姉川人工河川見学長浜港よりバス約20分間の移動で、姉川人工河川に午後1時20分到着した。 人工河川は、滋賀県と滋賀県漁業組合連合会が事業費を負担し、財団法人滋賀県水産振興協会が管理を担当し、 昭和56年から運営されている。琵琶湖には姉川の他には安曇川にも人工河川が造られている。 見学会は、2班に分かれ、説明は財団法人滋賀県水産振興協会の中新井さん、根本さんにしていただいた。 人工河川の役割は2つある。1つめは、天然アユの産卵場の確保である。アユの産卵時期に琵琶湖の水位低下が起こった場合、 人工河川に天然アユを呼び寄せ、産卵を行わせる。2つめは、親アユの養成である。 4月〜6月に琵琶湖のエリ漁ややな漁でとれた4〜5cmぐらいの仔魚を春先から飼育池で養成し、15cm程の親アユになる 8月まで養成する。電照飼育で産卵時期を天然アユより1ヶ月早くした親アユを人工河川に放流し、産卵させる。 孵化仔魚は琵琶湖に流下させ、早期の琵琶湖のアユ生産量を上げている。天然アユの遡上後、10月には電照飼育で 産卵時期を遅らせた育成アユを人工河川に放流し産卵させる。我々が視察したのはこの育成アユであった。 アユは人工河川の上流域に密集しており、サイズは小型であった。人工河川は鳥害からアユを保護するためのネットで覆ってあった。 渇水になった今年9月上旬は40万尾の天然アユが遡上してきた。 天然アユ、その前後の育成アユの産卵効率について比較はしていないといわれた。産卵後のアユはオガクズと共に燃やし、 肥料の他にエビの餌等に使用されている。施設の周辺は魚臭が強かった。参加者から、アユを放流しすぎることへの影響はないか、 との質問があったが、琵琶湖全体の育成アユの割合はわずかなものであり、 天然アユが産卵できる状態なら影響を及ぼす量ではないとのことであった。 見学会では、琵琶湖の貴重な水産資源であるアユの漁獲高を維持するための人工河川の施設、 その豊かな魚類を餌とするカワウがすみついてしまった竹生島の状況を視察したが、どちらも人と生物が大きくかかわった結果、 起こった現象である。これらのことが“ 健全な生態系とは何か”という今回のシンポジウムのテーマと関わるだけでなく、 日本の湖沼を問わず水域、陸域の自然と人のかかわりあいを問う課題であったと思う。 見学会で日本以外の事例をよくご存知のカー先生、橘川先生や他の先生方との議論を聞くことができたことはとても貴重な体験だった。 琵琶湖大会実行委員: 琵琶湖大会を終えて琵琶湖大会は、東京以外で開催される初めての総会・研究集会ということで、いろいろな人に御心配をおかけしましたが、 無事終了してほっとしています。若干の遅れもありましたが、何とか予定通り進行したのは、 実行委員の皆さんの奮闘のおかげと思います。実行委員の皆さん、ありがとうございました。紙面を借りて御礼申し上げます。 また、懇親会では、琵琶湖のヨシを原料とした色紙を使って参加者の皆さんの似顔絵を書くという企画を実行し、 約50名の似顔絵を書いていただきました。快く御協力いただいきました寺田實さん、福井美知子さん、釜田聡さんの三名の画家の先生に 御礼を申し上げます。 振りかえってみて、若干心残りな点は、大会の中味や企画について実行委員会であまり議論ができなかったことです。 初めてということと準備期間が短かったこともあり、魅力ある大会にするのに皆でアイデアを出し合うという所までは なかなか行きませんでした。今後は、今回の各実行委員の経験を活かして、大会の企画などにアイデアを出せるような場があればと 思います。 琵琶湖大会実行委員長:
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