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応用生態工学会ニュースレター No.6Ecological and Civil Engineering Society(ECES)
応用生態工学研究会が主催する大阪での初のワークショップ「水辺の生物群集と保全」が1998年12月4〜5日、 大阪府建築健保会館で開催されました。 本講義は、オーガナイザーである江崎保男 (姫路工業大学) 幹事の「本研究会は多くの分野の方々から構成されており、 ワークショップは講演を聴くだけでなく“多分野の意見のぶつかりあい、争いの場”である」との情熱あふれるあいさつで開幕し、 1日目が「水田」、2日目が「河川」における生物群集とその保全について講演がありました。 それぞれについて農業土木及び河川水理の立場からコメントをいただき、生態学に偏らない内容となりました。 受講者は100名あまりで、民間のコンサルタント会社からの参加がもっとも多く、 官公庁や財団法人の方々も参加され、学生の参加も多く見られました。 また、両日とも受講された方々には、修了証書が各先生方から手渡しで渡され、 アットホームな雰囲気でワークショップが終了しました。以下に各講義の概要をまとめます。 「ため池の植物群落−その成り立ちと保全」角野康朗 (神戸大学)ため池に生育する植物種は年々減少しており、その原因は埋立によるため池の消滅や堤体の改修工事などが挙げられる。 ため池を残すには社会的な合意が必要であり、それには経済的・制度的な裏付けが必要である。 また、改修工事では生態系への負荷の削減、復元力の維持などが課題となるが、 それには生態学と農業土木の技術の融合が必要である。 「ため池のトンボ群集」上田哲行 (石川県農業短期大学)日本に生息するトンボの約半数の80種がため池を生息場としている。 ため池のトンボの生息環境を保全するには、ため池内外の植生が最も重要となるが、 具体的にどのような植物がどの程度必要であるかは明確になっていない。 また、1つのため池に着目するだけでなく、周辺のため池を考慮した広域的な保全計画が必要である。 「サギが警告する田んぼの危機」藤岡正博 (農業研究センター)日本には6種類のサギ類が生息するが、圃場整備などが原因で主にチュウサギが田んぼから姿を消している。 チュウサギは河川などで魚を採ることが少なく、主に餌とするドジョウやカエルが圃場整備で減少していることが挙げられる。 今後、サギ類を含めた水田の生物多様性を保全するためには、休耕田に水を張ることなどが挙げられるが、 農家の負担だけでなく、補助金などの法的な整備も必要である。 「水田耕作に依存するカエル類群集」長谷川雅美 (千葉県立中央博物館)カエルは田んぼに水が張られてから、少し遅れて産卵するなど水田のサイクルにあわせた生活をしている。 圃場整備や放棄水田の増加によりカエルは減少しており、それらを餌とするヘビや水鳥も減少している。 今後、これらのことを具体的に示すデータを蓄積していくことが、水辺の生物を保全する緊急の課題である。 「水田における生物多様性とその修復」日鷹一雅 (愛媛大学)ここ十数年で、圃場整備や放棄水田の増加により、水田における多くの生物が姿を消している。 今後これらの現状をすぐに元に戻すことは困難ではあるが、農村の社会環境・経済環境を整備していくことが必要である。 また、環境アセスメントで環境調査会社や事業者から貴重種の保全について相談をうけるが、 特効薬を期待せずに「一緒に研究しましょう!」という姿勢で挑んでもらいたい。 「河川の魚類群集」田中哲夫 (姫路工業大学)平瀬・早瀬、淵などのハビタットごとに生息する底生動物の種類や生息数が異なる。 これらのハビタットにおける「食う−食われる」の食物連鎖の関係を確認していくことが、 河川の生物多様性の研究の重要な課題である。 そして、コメンテーターとして、農業土木の立場から瓜生隆宏氏 (兵庫県) 、 河川水理の立場から辻本哲郎氏 (名古屋大学) が意見を述べられ、今後の応用生態工学の課題を提示していただけました。
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